金の価格が20年前の約10倍に 海やパソコンから金を採取!ゴールドハンターに密着
この日、大手買取専門店「福ちゃん」の担当者が、客から買い取った金の宝飾品を、アヌプさんに売りに来た。昭和の時代に日本で作られ、日本人が買っていた商品が、今、大量に売りに出されている。アヌプさんはこれらの商品を、海外で売るのだ。 「福ちゃん」を運営する「リゲート」の福島道子社長は、「年齢が高くなると、宝石を身に着けて出かける機会が減る。『ずっと使っていない』というお客さんが多い。ちょうど(金の)相場も上がっているので、売却するにも良いタイミング。昔買った人は、かなりお得」と話す。
買い取ったのは何十年も使われた古い品で、あちこちに傷が目立つが、アヌプさんはなじみの工場を訪れ、この道34年の職人、山本順一さんに託す。山本さんが根気よく、約3時間かけて磨いた宝飾品は、すべてピカピカに。「金の特徴。表面だけは酸化してしまうが、手を加えれば元通りになる」(山本さん)。たんすの肥やしになっていた金は、ニッポンの職人の手によって新品同様の輝きを取り戻した。 アヌプさんの秘策はこれだけではない。リッチダイヤモンドのオフィスには、月に数回、大勢の外国人が集まってくる。彼女たちは在庫の中から真剣に宝飾品を選び、机の上にスマホをセットするが、一体何が始まるのか……。
家庭の半数に眠るパソコンから、金がザクザク!
日本がメダルラッシュに沸いたパリ・オリンピック。フェンシング男子 フルーレ団体で日本初の金メダルを獲得した松山恭助選手が投稿したSNSが波紋を呼んだ。金メダルの写真をアップし、「傷はあんまりついてないけど、なんか少しはげてきてる??」。メダルの劣化が話題になる中、改めて注目されたのが、東京オリンピックの金メダルの輝きだった。 メダルの原材料は、パソコンや携帯電話から集められた金。その旗振り役を担ったのが、「リネットジャパングループ」黒田武志社長だ。 黒田さんは10年前、日本で初めて政府のお墨付きを得て、家庭からパソコンなどを無料で回収するリサイクル事業を始めた。その回収台数は、今や年間100万台以上。パソコン1台につき、2~6時間かけてデータを消去し、その後1台ずつ手で解体する。 作業するのは、軽度の知的障害がある鈴木さんたち。入社4年目の鈴木さんは、1日8時間で100台以上を解体する。
「CPUに金がたくさん入っている」と黒田さん。丁寧に分解することで、98パーセント再資源化、年間約52キロ分の金を含んだ原材料が手に入る。そしてその原材料は提携する業者に送られ、抽出した金を精錬会社に販売。純度の高い金として生まれ変わるのだ。 黒田さんは「日本は資源がない国と言われるが、都市鉱山は資源大国並みに眠っている。家庭のもの、社会に眠っているものを掘り起こしていくことで、日本は都市鉱山の資源大国になっていける」と話す。そんな黒田さんのもとに、あるオファーが届く。そこには、新たな鉱脈が広がっていた……。 ※「ガイアの夜明け」より
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