夜間中学、悩む日本語指導…来日直後に入学するケースや教員のノウハウ不足も
生徒の8割が外国籍という埼玉県川口市の市立芝西中学校陽春分校では、日本語が不得手な生徒に日本語の基礎を教える授業を実施している。ただ、経済的理由から日本語学習の教材を購入できない生徒も多いため、教員はインターネット上の無料教材などを使って対応している。習熟度や国籍に合わせた教材を用意するのが難しいという。
授業を理解するために日本語の学習が必要な場合は、入学前の面接で地域の日本語教室を紹介している。同校の佐藤幸夫教頭は「日本語を学びたいという生徒のニーズが高いが、本来の目的は義務教育なので、外国籍の生徒がさらに増えると、今の体制で対応できるか不安だ」と話す。
文科省、指針策定へ
夜間中学は今年10月時点で32都道府県・政令指定都市に53校が設置されている。来春には滋賀県湖南市や和歌山市などで9校が開設され、近畿で夜間中学のない府県は解消される見込みだ。国は27年度までに全ての都道府県・政令市への夜間中学の設置を目指している。
文科省は25年度、夜間中学での外国人の日本語教育改善につなげるため、効果的な日本語指導のガイドライン(指針)を策定する方針だ。日本語指導のカリキュラムや教材などについて実態調査を行って効果的な指導方法を探り、全国の夜間中学に周知する。
文科省の担当者は「人事異動で夜間中学に初めて赴任し、日本語指導に悩んでいる先生も多い。指針には先進的な取り組み例などを盛り込みたい」と話す。