【新NISA】高成長が続く「インド株」の魅力をインド株投信のファンドマネージャーが解説! 2050年までは生産年齢人口が増加&消費拡大で株価上昇に期待大!
「インド株」の魅力や展望、投資する際の注意点を、インド最古の運用会社のファンドマネージャーがわかりやすく解説! 【図版】企業利益の増加とともにインド株は上昇 ●モディ首相の経済政策が奏功し、中間層の消費が猛烈に拡大中! 加速度的な成長は当分続く見通しで、長期投資に最適! ──インドの実質GDPの平均成長率は、過去10年間で5.7%です。高成長の原動力は何ですか? ティアギインドの経済成長の原動力は中間所得層の「消費」の拡大です。人口が14億人以上いて、その中でも中間所得層が急拡大しています。これに伴い、国内の消費がすさまじく伸びているので、世界経済がたとえ低迷したとしても、インドの成長はダメージを受けにくいと思います。 ──ほかの新興国と比べたインド株の魅力を教えて下さい。 ティアギ ほかの新興国とのもっとも大きな違いの一つは、コンスタントに成長を続けていること。このように長期にわたって成長を続けている市場は、ほかにありません。 今すでに名目GDPが3.4兆ドルと、世界で5番めの規模になりました。そして、これからも当面は年6%以上で成長すると考えられています。つまり、経済規模が大きい国でありながら、高い成長を続けているのが魅力です。 ──経済規模は、ある程度大きくなったら成熟し、成長が止まるという過程を経るものですが、インドはいつまで成長すると思いますか? ティアギ 経済の減速は、1人あたりGDPが1万ドルくらいのミドルクラスの国に見られる現象です。インドの場合、1人あたりGDPはまだ2000ドル台で、今は所得水準が低い国に属しています。 成長しきってスタグフレーション(景気後退の中でのインフレの同時進行)になるには、数十年かかると思います。2050年まで、15~64歳の生産年齢の人口が今後15%も伸びると見込まれています。これが労働力となり、消費に結びついて中間層の拡大につながっていく。若年層の構成比率が高いというのが魅力です。 ──モディ首相の掲げる製造業振興を目指す政策「メイク・イン・インディア」の成果は? ティアギ ここ4~5年、米国と中国の貿易戦争が顕著になってきています。また、コロナ禍で中国がロックダウンとなり、グローバル企業におけるサプライチェーンの問題も生じました。地政学的な問題などで、中国を信用しきれないという状況があります。こういった背景があることから、世界の多くの企業がアウトソースの拠点を分散させようとしています。低コストで信頼できて、納期が守れる拠点を求めているのです。 インド政府は、2020年からインドに生産拠点を作った企業にインセンティブを渡す生産連動型奨励策(PLI)を導入するなど、製造業の呼び込みに熱心です。PLIの初期の成功事例はアップル。同社は、iPhoneのインドでの生産比率を今後数年間で20%まで引き上げる計画です。たった3年前に始まった政策ですが、アップル以外にも、化学品や医薬品、自動車部品、エレクトロニクスの分野で成功事例があります。 ──モディ首相の国内の評価は? ティアギ モディ首相の支持率は非常に高い。その中でも一番評価されている政策は、国民の金融への取り込み(ファイナンシャル・インクルージョン)です。一番の功績だと思います。これにより、低所得層を含む5億人の銀行口座が開設されました。おかげで低所得層へも政府の補助金が行き渡り、不正も防げるように。また、キャッシュレス経済が進むという効果もありました。 ──モディ首相の後継者がいないという話も聞きます。 ティアギ モディ首相は73歳ですが、経験豊富で体力的にも元気でアクティブです。次の任期(※2024年の総選挙で勝てば、任期は5年で2029年まで)で最後になるとは思いますが、モディ首相が率いるインド人民党(BJP)には、有望な人材がたくさんいます。成長経済は引き継がれるでしょう。 ──生産年齢人口が今後さらに増加していく中で、産業の受け皿は問題ないでしょうか? ティアギ 先ほど話した「メイク・イン・インディア」の政策が、解決策になると思います。生産拠点を作って国内の需要にもつなげ、それが輸出にもつながる。サービス業は高学歴の人を吸収しますが、生産拠点が集まることは、ブルーカラーの労働力の受け皿にもなります。 ──インド経済のリスクはどんな点でしょうか? ティアギ 考えられるリスクは3つです。最大のリスクは、原油価格の上昇です。原油は80%を輸入に頼っているので、原油価格の上昇は経済にダメージを与えます。2つめのリスクは非常に低い確率だと考えていますが、中国との戦争です。敵対しがちな隣国ということで、リスクだとは思います。そして、3つめのリスクは、経済がある程度成長したことに満足してしまい、改革などが進まなくなることです。 ──インド株の動きの特徴は? ティアギ 当然ですが、株価は企業利益の成長に伴って動きます。過去30年間、企業の高い利益成長がインドの株式を引っ張ってきました。インド企業の利益成長率は平均で年12%くらい。株価も同じスピードで上昇しています。配当を出すより、利益を成長投資に回す企業が多いのが特徴です。 ──ティアギさんが運用しているインド株投資信託「SBI・UTIインドファンド」は、現状56銘柄に投資していますが、これは集中投資ですか? ティアギ これらの銘柄で、インド株式市場の成長を十分に捉えられると考えています。ただ、我々はセクターに関しては集中投資をしています。私が運用する投資信託の運用哲学は「ハイクオリティ」な銘柄を選択するというもの。ハイクオリティとは、長期的に安定してキャッシュフローが高く伸び、バランスシートが強固といった銘柄です。 なので、ビジネスサイクルに業績が左右されるコモディティ関連やエネルギー、インフラ、不動産、航空には投資していません。これは、高い利益率で企業活動ができないセクターと考えているからです。 集中して投資しているのは「金融」「消費財」「IT」「ヘルスケア」「自動車」の5セクターです。特に、これまでのインド経済を牽引してきた「金融」「消費財」「IT」の3つのセクターには、今後も注目しています。 ──インド株の買い時は? ティアギ インドは今後数十年は成長し続ける国です。そのため、日本の個人投資家には、タイミングを見て1~2年の投資をするのではなく、長期で忍耐強く投資することを勧めています。
ザイ編集部
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