物価は日本の5倍、道路では高級車が爆走…移住需要が高まるドバイの「意外な一面」
世界中の富豪が集まる中東・ドバイ。日本からもシン富裕層と呼ばれる人々が押し寄せている。そんな華々しい一面とは裏腹に、悲痛な叫び声を上げる人々がいた。知られざるドバイのリアルに迫った。 イギリスで日本の「カツカレー」が“国民食”になっている驚きの理由 『移住者が急増するドバイのヤバすぎる環境…日中外に出ると熱波で焼かれてしまう…!』より続く
べらぼうに高い物価
世界一高いビル「ブルジュ・ハリファ」、額縁の形をした世界最大の建造物「ドバイ・フレーム」、世界一高いところに屋外プールがある「アドレス・ビーチ・リゾート」……ドバイには次々とゴージャスな建物がつくられ、それらが金満王国というイメージをつくりあげているが、裏を返せば、生活感がないということ。 そんなドバイだから、当然、物価もべらぼうに高い。'21年からドバイを拠点に、海外移住支援や海外不動産投資のコンサルティングを行っている宮脇さき氏が解説する。 「外食代がとにかく高いんです。たとえば、カフェに入ってふつうのコーヒーにふつうのケーキを頼めば、大体5000円くらい。日本で1杯1000円くらいのウイスキーが、向こうでは7000~1万円くらいかかる。基本的に外食する場合は、安くて2~3倍、高いものだと5倍以上日本よりかかると思っていたほうがいいです。 家賃にしても、ドバイ中心部だと2LDKで大体月50万~70万円くらいします。ドバイでも稼げている人はまだしも、たまたま暗号資産が当たってその貯金で生活しようとしていた人のなかには、ドバイの物価についていけないケースも多い」
孤独に負けて「ドバイ離婚」
問題はそれだけではない。暑すぎるドバイではレジャーが少なく、趣味の仲間がつくりづらいのだ。宮脇氏が続ける。 「ドバイにいる日本人は孤独に悩む方もいます。11~3月の冬の時期はいいのですが、基本的に厳しい気候のドバイは、デリバリー文化が根付いている。ご飯や生活用品だけでなく、美容師もマッサージ師も家に来てもらいます。外に出ることがどんどん減って、リフレッシュできず、気を病んでしまう方もいるそうです。 最近聞くのは、夫婦でドバイにやってきて、旦那さんだけ孤独に耐えられず、離婚して帰国するケース。奥さんは、子供の習い事などでママ友を作りやすいのですが、旦那さんはコミュニティに入れず引きこもりのような生活を送る人が少なくない。結果、夫婦仲に亀裂が入ってしまうこともあります」 一方で、ドバイだからこそビジネスが成功した事例も多数存在する。人口が急増していることに対して、まだまだ進出していないサービスや業態があるからだ。 たとえば、日本では「訪問型美容室」と呼ばれるサービスを、「出張型美容室」としてビジネスを始めた男性がいたという。 「日本では美容師法により、サービスを提供できる方が限られていましたが、ドバイではその制限はなく、サービスを展開できます。顧客単価が日本の3倍になるのに加えて、店舗を構える必要がないので固定費を抑えられます。もちろん店舗をもったほうが効率はいいかもしれませんが、訪問型サービスが根付いているドバイだからこそ、うまくいっています」(宮脇氏) ドバイでは成功と失敗は表裏一体なのか。環境に適応できない人は転落していくばかりなのかもしれない。