夢の扉 ‘25注目ルーキー 光る君へ 巨人D2位・浦田俊輔、アスリート一家が育てた巨人の星
プロ野球のルーキーにスポットを当てる連載「夢の扉」の第3回は、走攻守に三拍子そろった巨人のドラフト2位・浦田俊輔内野手(22)=九産大。陸上自衛官の父・秀明さん(56)は、かつて近代五種競技で五輪出場を目指し、母・智美さん(53)は高校時代にバレーボールでインターハイ優勝の経験を持つアスリート一家だ。50メートル5秒8を誇る脚力の原点は〝スポーツ英才教育〟にあった。(取材構成・原田優介) 【写真】浦田の12歳の誕生日ケーキは巨人のマスコット・ジャビットだった 類まれな俊足は父譲りだ。「野球につながれば」という両親の方針で、浦田は保育園の頃から水泳、体操、ピアノを習っていた。小学生で本格的に野球を始めると、陸上自衛官の父・秀明さんと自主練習に励んだ。 「小さい頃は父によく怒られていた。(家に)帰ってこない方がいいなと思うときもあったんですけど(笑)。でも、いろいろ教えてもらって感謝しています」 夕方以降、予定がなければ自宅の周りや近所の公園で体を動かした。キャッチボールや素振りなどを2時間ほど行うのが日課だった。なかでも「めっちゃ厳しかった」と振り返るのがランニング。腕を後ろに振るなど、正しいフォームでの走り方をたたき込まれた。 秀明さんは、未公認ながら100メートル10秒78の記録を持つ。野球部に所属した長崎・猶興館(ゆうこうかん)高卒業後は自衛隊体育学校に入学し、近代五種競技で1996年のアトランタ五輪出場を目指した。第一線を退いた後、筑波大大学院の陸上競技研究室で2年間、スポーツ科学を研究。日本陸上競技連盟会長で、パリ五輪で団長を務めた尾縣貢氏(65)のもとで学んだ走りのスペシャリストだ。 研究から得た走りの知識をもとに、リラックスしたフォームやトレーニング法などを小学生時代の俊輔に指導。「俊輔はよく分かっていなかったと思いますけどね」と父は懐かしむ。浦田は50メートル5秒8の俊足を武器とする野球選手に成長し、長崎・海星高2年夏に遊撃手として甲子園大会出場。九産大時代には3度の盗塁王を獲得するなど頭角を現し、プロ入りの夢をかなえた。 母・智美さん(53)は長崎・九州文化学園高時代にバレーボール部の主将としてインターハイ優勝。アスリート一家の次男は小学生の頃、自宅から車で20分ほどのバッティングセンターに親子で通った。少なくとも週に1度、多いときは週に3、4度。通い始めたばかりの頃は1カ月で7万円ほど使った。