はやぶさ2の状況は? JAXA会見(全文3)地球帰還は来年11月か12月の予定
サイエンスの成果を期待してほしい
吉川:では再びJAXAのほうの資料に戻りまして、16ページになります。4番の業績なんですが、ここでは、今日は小惑星近傍フェーズの総括ということなので、一応、小惑星に到着したあとの論文と表彰についてまとめましたが、まだ論文のほうは、あそこに書きましたように『Science』誌とか『Nature』という超一流の雑誌にこれまで合計5件、あと、主要論文誌11件と書いてありますが、実はまだまだたくさん、今、サイエンスチームのメンバーが論文を書いています。すでに投稿中のものもありますし、今、執筆中のもありますので、まだまだこれからのサイエンスの成果をぜひ期待いただければと思います。 それから、表彰のほうも非常にうれしいことに、こんなにたくさん、いろんな団体から認めていただきました。これはわれわれからもお礼をしたいと思っております。詳しくは参考資料のほうに論文のリストと表彰について挙げてありますので、そちらをご覧いただければと思います。では次、今後の運用計画です。
今後の帰還巡行運用計画
津田:では今後の帰還巡行運用の計画についてご説明させていただきます。このページは文章で書いていますが、その次のページに図がありますので、こちらでご説明いたします。まずは「はやぶさ2」の現在の状態ですけども、イオンエンジンスラスターは全て健全です。11月13日に小惑星を出発してから、スラスター、A、B、C、DあるうちのA、C、Dの健全性を確認して、この3つを使って帰還しようということを考えております。Bは行きと同じく温存の予定です。本日現在、すでにリュウグウを出発してから、リュウグウとの距離、4万5,000キロまで離れているという状態になっております。 それから、じゃあ次のページにいっていただいて、帰還フェーズの軌道ってこのような形になっています。リュウグウを出発して、行きは3年半掛けましたが、復路は1周弱でリュウグウから地球に帰還します。地球帰還は来年の今ごろ、11月から12月のどこかという予定でおります。イオンエンジンは2回、2期に分けて運転します。第1期は今、実施中ですが、これが2月まで掛かる予定です。そのあとは弾道飛行がしばらく続いて、5月から9月まで、ここが第2期のイオンエンジン運転になります。そのあとはリエントリー、精密誘導と書いてますが、基本的には化学推進系を使って、地球のある1点を目指してカプセルを落とすための運用を行います。 イオンエンジンの運転計画としては、第1期が600時間ほどで、スラスターの数は太陽からの距離に応じて3台から、実は今はもう2台に切り替えていますが、2台運転です。総加速量としては秒速100メートル分の加速を行います。第2期はおよそ1900時間、運転します。このときはちょっと太陽距離が離れているので、電力の関係で、最初は1台運転で、最後、後半は2台運転の予定で、総加速量は150メートル毎秒を計画しております。以上になります。