紅一点レガレイラはルメール騎手→北村宏司騎手に乗り替わる“初コンビ”に懸念。本軸は昨年の最優秀2歳牡馬を強く推す!【皐月賞】
「対抗」は本命馬に唯一黒星をつけたジャスティンミラノ
次いで「対抗」と評価したいのが、ジャンタルマンタルに唯一黒星をつけたジャスティンミラノ(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)である。 同馬は新馬戦(東京・芝2000m)を楽勝すると、重賞初挑戦となる次走の共同通信杯は2番手から抜け出し、追いすがるジャンタルマンタルを1馬身半差で退けて優勝。わずか2レースで一気にクラシック候補の1頭に数えられる存在に浮上したわけだ。 友道調教師は共同会見で、「2走目の共同通信杯でいきなり強いメンバーと当たってもいい競馬をしてくれたので、今回は初の多頭数競馬、初の右回りという経験をするなかでも、きっとクリアしてくれると思っている。何とか皐月賞馬としてダービーへ向かいたい」と自信を隠そうともしない。 キャリアがまだ2戦という伸びしろ、ダービー3勝を挙げる敏腕トレーナーがかける期待の大きさも加味して、ジャスティンミラノには対抗の印を献上したい。 一方、話題性の面からみても触れないわけにはいかない有力馬がいる。フランスのセリ市において210万ユーロ(当時のレートで約2億8000万円)で落札された、仏ダービー馬にして凱旋門賞馬であるソットサス(Sottsass)の全弟で、オーナーがサイバーエージェント社長の藤田晋氏というシンエンペラーである。 凱旋門賞馬の全弟は新馬戦(東京・芝1800m)、京都2歳ステークス(GⅢ、京都・芝2000m)を連勝したものの、昨年12月のホープフルステークスではレガレイラの末脚に屈して2着。今年初戦の弥生賞(GⅡ、中山・芝2000m)では早めに仕掛けて出たコスモキュランダ(牡3歳/美浦・加藤士津八厩舎)を捉えることができずに、またも2着で涙をのんだ。世代トップクラス同士の戦いとなると、やや詰めの甘さが出てしまう印象である。 管理する矢作調教師も共同会見で、「この馬が良くなるには経験が必要だと思ったので、弥生賞も使いました」とコメント。しかし、「使うごとに良くなっており、秋、あるいは来年に完成されるのではないかという期待を抱いています」と成長力を願っている。「世界の矢作」に対して失礼を承知でいえば、筆者もこの見方にまったく同意で、スケールの大きさは認めつつも、完成度の面で現状では他のトップホースにやや劣っているのではないかと感じている。よって、シンエンペラーは押さえまでと判断する。 他にマークしておきたい馬を挙げておく。 まずは逃げる公算が大きく、意外性のあるゴールドシップ産駒のメイショウタバル(牡3歳/栗東・石橋守厩舎)。次にデビュー3戦目の京成杯(GⅢ、中山・芝2000m)で僅差の2着に入り、安定感が際立つアーバンシック(牡3歳/美浦・武井亮厩舎)。そして、早めのロングスパートでシンエンペラーを降したコスモキュランダ。デビューから2戦2勝で、きさらぎ賞(GⅢ、京都・芝1800m)を制したビザンチンドリーム(牡3歳/栗東・坂口智康厩舎)の末脚は要注意だ。以上、挙げたのは人気が割れそうなため、ここまで手広く押さえておきたい。 最後に、不運にも落馬事故で4月10日夜に人生の幕を閉じられた藤岡康太騎手のご冥福を心からお祈りいたします。合掌。 取材・文●三好達彦
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