紅一点レガレイラはルメール騎手→北村宏司騎手に乗り替わる“初コンビ”に懸念。本軸は昨年の最優秀2歳牡馬を強く推す!【皐月賞】
乗り替わりのテン乗りは勝利が少ない
懸念材料は、鞍上の乗り替わりだ。ご存知のように、ルメール騎手は先ごろのドバイ遠征で落馬事故があり複数箇所の骨折などで休養中。陣営は代役選びにかなり難渋したようだが、レース当週にギリギリのタイミングでベテランの北村宏司騎手に白羽の矢を立てた。 同騎手はビッグレースでの騎乗経験も豊富で、2015年にはキタサンブラックの菊花賞制覇をアシストしたこともある腕利きのジョッキーである。決して北村騎手を不安視しているのではない。ここで『懸念材料』と記したのは、クラシックでは乗り替わりのテン乗りで勝利を収めるケースがとても少ないというデータによるものだ。 昨年よりも馬体は、一段とたくましさを増したレガレイラ。前走のように強烈な末脚を炸裂させて勝ち切っても何の不思議もないポテンシャルの持ち主であるが、乗り替わりのテン乗りという点を差し引いて、「単穴」に評価を下げておく。 本稿で「主軸」に推したいのは、昨年の朝日杯フューチュリティステークス(GⅠ、阪神・芝1600m)を制して、JRA賞最優秀2歳牡馬に選出されたジャンタルマンタル(牡3歳/栗東・高野友和厩舎)だ。 本馬はデビュー戦(京都・芝1800m)、続くデイリー杯2歳ステークス(GⅡ、京都・芝1600m)をいずれも楽勝し、2歳王者を決める朝日杯も先団からあっさりと抜け出して先頭でゴールしたように、レースセンスは抜群。今年初戦の共同通信杯(GⅢ、東京・芝1800m)は久々のレースということで、テンションが上がったのか道中は力んだ走りとなり、終いはよく追い込んだものの、2番手から抜け出したジャスティンミラノ(牡3歳/栗東・友道康夫厩舎)を捉え切れず2着に敗れた。 ただ、このレースは1000mの通過ラップが62秒7、上がり3ハロンが33秒1という典型的なスローの上がり勝負で、ジャンタルマンタル自身も上がりは32秒6という凄い脚を使っている。共同会見で高野調教師が「(共同通信杯は)次の2000mを想定したレースをしてほしいと、ジョッキーに伝えていた」と話したように、距離の限界が囁かれがちな本馬に予行演習を施したとも言える。 同会見において、レースで手綱を取る川田将雅騎手は「距離に関しては、これは本当にトライだと思っている」と話し、不安と期待が半々というニュアンスのコメントを残しており、おそらくレース展開やペースのことを指しているのであろう。「きちんと能力を発揮できる競馬になれば、と思っている」と締め括った。 筆者もこの馬の本質はマイラーだと思ってはいるが、道中リラックスして走ることができれば、2000mは克服できる距離だと考えている。次の日本ダービー(5月26日)を意識して臨んでくる馬が多いなか、2400mへの距離延長が有利に働くとは思えないジャンタルマンタルは、ここが勝負だと睨んでいるはず。よって、本馬を「主軸」として推してみたい。
【関連記事】
- なぜ桜の戴冠をできたのか。ステレンボッシュの「潜在能力」「国枝厩舎の手腕」「モレイラ騎手の絶妙技術」の“三位一体”が最高の結果を生む【桜花賞】
- ベラジオオペラを頂点に導いた横山和生騎手の「正確な馬場読み」「仕掛けのタイミング」はお見事! 一方で、不可解な11着敗戦のダービー馬に一体何が?
- ドバイワールドカップデーを独自総括! 日本馬はG1勝利ならずも、フォーエバーヤングの無傷V5に矢作調教師は男泣き。“夢舞台”に期待膨らむ
- 【名馬列伝】最強牝馬の称号を手に入れていた女傑ヒシアマゾン。「まるで“ワープ”した」と驚嘆した伝説の鬼脚
- 【名馬列伝】大差で突き放す異次元の強さ。“持込馬”であるマルゼンスキーが『史上最強』と主張される理由