2025年、巳年の市場を待つのは大パニックか?トランプ再選の影響と「世界恐慌」との類似点
世界大恐慌も巳年だった
大恐慌が世界を襲った1929年(-33.1%)も巳年だった。トランプを再選させた米国に住んでいると、今の世相が世界恐慌前に似ているのが、気になって仕方がない。 100年前の米国のコメディアン俳優、ウィル・ロジャースが言った言葉に「民主党と共和党の違いは名前だけさ」というのがある。どちらの政党も庶民を助けてくれないという皮肉だ。民主党も共和党穏健派も選挙に勝てない今の米国にそのまま当てはまる。現代のコメディアン、ルイス・ブラックは「民主党は政策のない政党。共和党はダメな政策の政党」と言い換えた。 そして、時代背景として今昔に共通するのは、「ニューテクノロジー」への資本の大集中と格差の拡大。 当時は鉄鋼、石油、鉄道などの大企業が台頭し、ロックフェラーやヴァンダービルトなど一代で莫大な富を築く大富豪が現れた。今の時代もグーグルやアップル、アマゾンやテスラなどのテクノロジー産業に投資資本が集中し、イーロン・マスク氏の個人資産が日本円で60兆円を超えたと騒がれる。一方で、今も昔も労働者や中産階級の所得は伸び悩む。 市場主義経済の行き詰まりと社会の分断、経済的不安の中でグローバリズムや国際協調が崩れ、「アメリカ・ファースト」などの自国第一主義や排他的なナショナリズムが支持を集める点も、一世紀前の時代にどんどん似てきている。 第一次対戦後の1920年から1929年までの約10年間、世界の株は長期に上昇し、多くの一般人も借金による「信用取引」に参加して、それを享受したが、その結果、実体経済を大きく超える株バブルが発生して1929年の「ブラックサーズディ(暗黒の木曜日)の崩壊につながった。 もちろん、現代ではそんなガラガラポンが起きにくい理由を上げることもできるだろう。世界恐慌ではパニック的な資金引き上げが起き、銀行の連鎖破綻が金融システムを崩壊させたが、今の中央銀行は歴史に学び、市場の流動性(マネーの流れ)を確保することが上手になっている。新型コロナ発生直後に世界の中央銀行がバランスシートを膨らませて、市場に資金を送り込んだのがその良い例だ。 だが、歴史は繰り返す。