【未解決事件】警察庁長官銃撃事件の発生から今年で30年…オウム信者の警視庁巡査長が一時犯行自供も時効成立の理由
「長官を撃った」と自白した別の男
一方、自ら「長官を撃った」と事件への関与を雑誌などに話していた男がいた。 現金輸送車の襲撃事件で岐阜刑務所に服役中だった、オウム真理教とは無関係の中村泰(なかむら・ひろし)元受刑者だ。 FNNの取材に対しても、自らが撃ったと話した中村元受刑者に対して、警視庁は何度も事情聴取を行っていたが、「供述内容に実際の犯行状況と一致しない内容が多数認められる」として、捜査を打ち切っていた。 2010年10月、長官銃撃事件はすでに刑事事件としての時効は成立していたが、中村元受刑者は事件後に海外渡航していた期間があり、時効が延長されていた。そのため、都内の弁護士が受刑者について、殺人未遂容疑で東京地検に告発状を提出し受理された。 中村元受刑者は、凶器となった拳銃や弾丸の入手の経緯や、事件直前に現場を下見した際の状況、犯行当日の逃走経路などを供述。 しかし東京地検は「自白はしているが供述の信用性に疑いがある」などとして、嫌疑不十分で不起訴処分とした。中村元受刑者は、2024年5月に、都内の医療刑務所で死亡。94歳だった。
犯人の行方は…
2011年、警視庁は発生当時の捜査員や捜査幹部、歴代の公安部幹部ら、約100人から聞き取りを行うなどしてまとめられた、事件捜査に関する検証結果を公表した。 この中で、警視庁は捜査の反省点として、「聞き込みなど初動捜査の不備」「犯行を告白した元警察官の供述に対する裏付け捜査の遅れ」「科学捜査の不足」の3点を挙げている。 また、検証の過程で元巡査長の存在自体が隠されていたことについて、刑事部幹部から「おかしいのではないか」との声も挙がったという。 日本の治安を守る警察の“最高責任者”警察庁長官が銃撃されるという、日本を揺るがした事件。 実行役は特定されず、真相は今も闇に包まれたままだ。
プライムオンライン編集部