【未解決事件】警察庁長官銃撃事件の発生から今年で30年…オウム信者の警視庁巡査長が一時犯行自供も時効成立の理由
時効直前の必死の捜査
凶器も、信用に足る供述も得られないまま、時効が近づくなか、時効前年の2009年、警視庁は改めて不起訴となった元巡査長への事情聴取を再開し、公安部幹部が直接話を聴くなどしたが、元巡査長は曖昧な供述を続けていた。 元巡査長のコートやメガネ、マスク、机などからは、拳銃を発砲したときに出る火薬の成分の一部などが検出されたことがわかっていたが、元巡査長は「コートは人に貸しただけで、自分はやっていない」と容疑を否認。 さらに時効直前の2010年の1月には、当時収監中だった松本元死刑囚に、事情聴取を要請したが、自分の房から出ることを拒否したため、実現しないままに終わった。 死刑囚への事情聴取は極めて異例だった上、そもそも警視庁が松本元死刑囚に接触するのは、2004年以来だったため、注目を浴びた。
時効成立後に…
2010年3月30日、事件発生から15年が経ったこの日、延べ50万人の捜査員を投入し、懸命の捜査を続けてきた警視庁は犯人逮捕には至らず、時効が成立した。 警視庁の当時の公安部長は、異例とも言える時効成立後の会見を行い、次のように発言した。 「事件が未解決に終わった理由につきましては私どもの力が及ばなかったということに尽きる。これまでの捜査結果からこの事件はオウム真理教の信者グループが教祖の意思の元に組織的計画的に敢行したテロであったと認めました」 オウム真理教による組織的なテロであるとする見解を発表し、14ページに及ぶ捜査結果をホームページ上で公開したのだ。 これに対し、オウム真理教から名前を変えた「アレフ」は、「確たる証拠もなく、教団による組織的犯行と結論付けていて、極めて不公正」などとして、ホームページからの削除を要請。 また「捜査結果を公表したのは名誉毀損にあたる」などとして、東京都と当時の警視総監に対し損害賠償などを求める裁判を起こし、東京都がアレフに対し100万円の支払いを命じる判決が確定した。