5泊8日南米出張…石破外交で3つの「意外」とは
APEC首脳会議、G20首脳会議に出席するため南米ペルーと、ブラジルを5泊8日、移動時間48時間の日程で訪れた石破首相。訪問中、現地での複数の関係者取材から浮かび上がった、石破外交「3つの意外」について同行記者が解説。
■意外(1)…各国首脳との会話で出たのは…「意外」な名前
今回の国際会議で、首相を間近でみていたある外務省関係者は、正式な会談でない場面で「意外」にも話題にあがったのは“トランプ次期大統領”だったと明かした。ペルーでの晩餐会の直前、マレーシアのアンワル首相が、石破首相に近づき、声をかけてきたという。 「トランプ次期大統領をどうみてますか?」 関心は石破首相の“トランプ戦略”だった。この一連の出張中、マレーシアのみならず、こうした場面が何度かあったという。 ある外務省幹部は「アメリカにとって1番の同盟国はイギリス、次が日本。日本がどうトランプ政権と向き合っていくかは世界、特にアジア諸国の関心事だ」と話す。各国首脳の視線が、石破首相とトランプ氏との距離感に注がれている。
■意外(2)…トランプ会談“見送り”…説明は「意外」な形で
そのトランプ氏との会談は見送りになったが、発表をめぐって政府内で「意外」な意見対立があったことがわかった。発表は首相自らが行ったが、米側が説明した理由を説明するかどうかで、政府部内で意見が割れた。実際、筆者は現場で首相インタビューを取材したが、打ち合わせが長引くなどし、開始が当初の予定より30分以上遅れる事態となっていた。 裏側でどんな議論が行われたのか?米側が説明した(1)「各国から会談要請が殺到している」(2)「国内法違反となるので会談できない」という理由について、外務省担当者は「トランプ氏側との信頼関係もあり、オープンにすべきではない」という主張だったという。これに対して「意外」にも異論を唱えたのが石破首相だったという。「国民に見送りになった理由をちゃんと伝えた方がいい」。 首相が大事にする「納得と共感」。その一方で、意識せざる得ないのがアメリカなど諸外国との「外交上のマナー」。その狭間で“石破外交”の判断が揺れた場面だったようだ。