古江彩佳は“傾斜の女” 「エビアンは勝つべくして勝った」タケ小山がスイング解説
米国女子ツアーのメジャー第4戦「アムンディ エビアン選手権」を制した古江彩佳。日本女子選手で史上4人目の快挙を成し遂げた彼女の活躍を、2022年シーズン本格参戦前から予言していたのが“屋根裏部屋ゴルフ解説”でおなじみ・タケ小山氏だ。彼女の強さの秘密、スイングのすごさとは――。古江を注目し続けてきた小山だからこそ分かるポイントを解説する。 【画像】賞金総額は大会史上最高12億円超
飛ばないけれど強い まさに“令和の宮里藍”
古江プロはこれまでも現地では、米国女子ツアー9勝を挙げ、2010年に世界ランキング1位に輝いた宮里藍さんの再来という風に扱われてきました。
飛距離は劣るもののショットの正確性、パーオン率の高さは他の選手から見ると脅威。特にセカンドショットの精度の高さは世界レベルで、フェアウェイウッド(以下FW)とユーティリティ(以下UT)のコントロールショットは、目を見張るものがあります。ドライバーではセカンドオナー(一番飛んでいない)になっても、グリーン上では一番最後。そんな彼女の安定感は今シーズンの成績(最多9度目のトップ10入り)にもしっかり表れていました。
入射角が変わらない FWとUTの扱い方は世界トップクラス
彼女がスイング面で優れているのは、鋭角過ぎずに程よい入射角が得られている点です。体の大きな海外選手は、ややクラブが立った状態で鋭角にクラブを振り下ろすスティープな動きが多く、上から打ち込む男子プロに近い選手が多数派です。スティープなスイングは、操作しやすいショートアイアンでは正確性を発揮しますが、ロングアイアン以上の操作しにくい番手ではミスを引き起こしやすい。クラブが若干シャローに動くとテンプラやトップといった大きなミスも出やすいのです。 それに比べ、古江プロはどんな状況でもクラブが立ち過ぎたり寝すぎることなく、常にロフト角通りにコンタクトできています。入射角をレベル(平ら)に保つ能力に長けていることで、米国女子ツアーでも断トツの安定感を発揮できているのです。
また今日の活躍につながった理由は、海外に行ってからスイングを変えなかった点でしょう。環境が変われば、飛距離をアップしたいと思うのは当然。どうしても現在のスイングを変えたいという気持ちが生まれるものです。古江プロはそこを一切変えずに、持っている力をそのまま発揮する方向で勝負を挑みました。信念の強さ、維持し続ける努力は宮里藍さんに通ずる点が多いと感じます。