トップ4を目指すトッテナムの“ジョーカー”はヴェルナー? 冬の補強とスパーズの10年間
今季のプレミアリーグも終盤戦に差し掛かり、アーセナル、リヴァプール、マンチェスター・シティによる“三つ巴”の優勝争いだけでなく、トップ4最後の1枠を巡る争いも過熱している。 現在4位につけるアストン・ヴィラは、29試合を消化した時点で勝ち点「56」を獲得。彼らを「3」ポイント差で追うトッテナムは消化が1試合少ないため、状況を考えるとほぼ互角と言っていい。さらに、トッテナムの「6」ポイント下には巻き返しを目指すマンチェスター・ユナイテッドも控えている。 残り試合の難易度を考えると、マンチェスター・ユナイテッドが有利との見方が強いが、アストン・ヴィラとの「9」ポイント差を埋めるのは決して簡単ではない。データサイト『Opta』のスーパーコンピューターによると、4位の確率が最も高いのはトッテナムで「47.8%」だという。次いでヴィラの「46.1%」、ユナイテッドはわずか「3.9%」となっている。 データ上では本命の“スパーズ”にとっては、シーズン終盤にカギを握るのは冬に加入した選手かもしれない。昨年11月にヨハン・ランゲがテクニカルディレクター(TD)に就任したトッテナムは、1月の移籍市場でライプツィヒからドイツ代表FWティモ・ヴェルナーを買い取りオプション付きレンタル移籍で獲得。ジェノアからルーマニア代表DFラドゥ・ドラグシンも約2600万ポンド(約4900億円)の移籍金で戦力に加えた。前者はマンチェスター・ユナイテッド、後者はバイエルンとの競合の末、獲得に成功したという。 なかでも期待が寄せられるのはヴェルナーだ。2020-21シーズンから2年間在籍したチェルシーでは、プレミアリーグ56試合の出場でわずか10ゴールという成績にとどまり、「失敗」の烙印を押されたため、トッテナムが獲得を発表した時も疑問視する声が聞かれた。だが、出場7試合目となった3月2日の第27節クリスタル・パレス戦(○3-1)でゴールを奪うと、続くアストン・ヴィラ戦でもネットを揺らし、プレミアリーグでは直近3試合で2ゴール。さらに守備でもチームに貢献している。今季のトッテナムはアンジェ・ポステコグルー監督のもと、ハイプレスの指標とされる「OPPDA」(敵陣で守備アクションをするまでに敵に許したパス数)がリヴァプールを抑えてリーグ1位だ。ヴェルナーも快速を活かして積極的にプレスをかけており、彼がさらにチームに馴染めば、トッテナムもトップ4入りに大きく近づくだろう。 冬の新戦力がスパーズをトップ4に導くかもしれないということで、過去10シーズンの彼らの冬の補強と、それぞれのシーズンの行方を振り返ろう。