“新紙幣発行”に対応できず…各地でドタバタ発生! 券売機業者に問い合わせ殺到 デザイン一新の背景に相次いだ“ニセ札事件”
3日に3種類の新たな紙幣が発行される中、横浜市営プールの券売機が新紙幣に対応しておらず、利用者が困惑していた。 また新紙幣への対応で、店舗などでの混乱や費用負担が増え、東京都内の中華料理店では100円の値上げに踏み切った。 【画像】前回の新札発行時にはタクシー料金の支払いに精巧なニセ一万円札を使う犯行が相次いだ
新札対応できず…が多発
神奈川・横浜市で2日午後1時ごろ、水泳教室の参加者らが訪れた横浜市営プールの券売機で何やら動きがあった。 券売機に貼り紙が貼られたのは、「こちらの券売機はまだ新札対応ができておりません」というお知らせだった。 プールの利用者は、「困りました。どうしましょう」と話す。 いよいよ、3日に発行される3種類の新たな紙幣。 ところが、約20年ぶりに一新される新紙幣への対応に各地でドタバタが相次いでいる。 東京・町田市の町田駅前のバスターミナルで、開いたドアから見えた「運賃箱」には、「新紙幣使えません」と書いてあった。 神奈中バスの愛称で親しまれる神奈川中央交通が、神奈川と東京の一部で運行する路線バスは1900台。 そのうち、新紙幣対応の運賃箱に変更した車両は約4割にとどまっているため、残る約1130台のバスには「未対応」のステッカーを貼り、告知しているのだという。 神奈中バスの利用者は、「基本、現金払いが多いので、新紙幣しか持っていないと困る」とコメント。 ほかの利用者も、「万全の準備が整ってから、やってもらえたらよかった」と話している。 神奈中バスでは、9月末までにはすべての車両が新紙幣に対応する予定で、それまでの期間は、あらかじめ旧紙幣を用意するか、または交通系ICカードを利用するよう呼びかけている。 神奈川・横浜市営の「保土ケ谷プール」では、2日券売機の新紙幣対応が間に合わず、利用者に自作のポップで知らせた。 プールの利用者は、「どうしましょう。この年でPayPayとかそういうのも全然使えないので」と話す。 大忙しとなる真夏を目前に、プールの運営元も困っていた。 保土ケ谷プール・土本美帆子さんは、「繁忙期が7~8月。両替金をいつもより多めに用意して、お客さまになるべく迷惑がかからないように。メーカーにはお願いしているが、順番待ちで秋ぐらいかと言われている」と話している。 20年ぶりの新紙幣発行が迫るにつれ、券売機の販売業者には問い合わせが殺到していた。 エレコム専務取締役・川浪武盛さんは、「今年になって注文が増えて、納期が年内間に合うかなっていう可能性もある」と話す。 こうした中、東京・大田区の大岡山駅前の中華料理店「四川屋台」に6月28日、新たな券売機が搬入されていた。 ボリュームたっぷりの「油淋鶏定食」などが、地元の大学生にも人気のこの店。 実は、新紙幣への対応が間に合ったものの、それによって新たな悩みが生じていた。 四川屋台オーナー・峰彰男さんは、「一品でお腹いっぱいになるように常に心がけてやってますんで、一生懸命売ってるんですけど、どうしても肉(の値段)が高くて。(値段を)上げるのをずっと我慢してタイミングを見計らって、今回上げた」と話す。 券売機の交換など、新紙幣への対応にかかった費用は、約230万円。 材料費の高騰などもあって、ついに限界を超え、一律100円の値上げに踏み切った。 四川屋台オーナー・峰彰男さんは、「100円(値上げ)もちょっと度胸が必要で、本当は50円にしようかなと思ったけど、今回はちょっと思い切って、100円上げさせていただいた」と話している。 業界団体によると、3日の時点で新紙幣に対応している銀行のATM(現金自動預払機)は全体の9割以上。 一方で、飲食店の券売機は5割、ドリンクの自販機は2割から3割にとどまっているという。 費用負担が大きいことから、今後、商品の値上げが増える可能性が指摘されている。