イタリア代表復権の鍵はセリエB? 真の強豪に返り咲くために。 "メイド・イン・イタリー"プロジェクトの全貌【コラム】
⚫️"メイド・イン・イタリー"プロジェクトとは
従来は、23歳以下の選手の起用に貢献金が支払われていたが、昨シーズンより、イタリア人に限定され、さらに、今季からは21歳以下のイタリア人選手を起用した場合に限り、この"ボーナス"が支給されることになった。23/24シーズンは、開幕から4節までにイタリア人の起用は72.41%にとどまっていたが、今季は75.3%まで上昇。21歳以下のイタリア人の起用も、8.21%から10.7%と増えている。ロンバルディーア州を本拠地とし、14年ぶりにセリエBに返り咲いたマントバは、3人の二重国籍選手を含め、登録選手全員がイタリア人選手だ。1990年代後半、イタリア人だけのチーム作りで、セリエAにおいて疾風を巻き起こしたピアチェンツァを彷彿とさせる。 2015年までの2年間、ジャンルイジ・ブッフォンが会長を務めたことで知られるカッラレーゼ、チッタデッラ、スドゥティロル、ユーベ・スタビアといったクラブも90%を超えるイタリア人選手を抱えている。このうち、スドゥティロルとユーベ・スタビアは第5節を終えて、前者が4位、後者が5位と、イタリア人を多く起用しても戦えることを証明している。 2017年からセリエBの会長を担い、2023年にはイタリア・サッカー連盟(FIGC)の理事会メンバーにも選出されたマウロ・バラータの案によって誕生したこの"メイド・イン・イタリー"プロジェクトは、貢献額が具体的にいくら支払われているのかは明かされていないが、約5000万ユーロ(80億円)もの予算が組まれ、選手の年齢や起用頻度、クラブのパフォーマンスなどに基づき変動するという。 5試合を終えて得点ランキングで1位に立つのは、ピサの22歳FWニコラス・ボンファンティ。4ゴールをマークして、首位のチームを牽引している。昨年1月にモデナからピサに移籍し、16試合で5得点の決定力を見せた。世界的ストライカーとして名を馳せ、今季からピサを指揮するインザーギの指導によって、さらにその得点能力が研ぎ澄まされることは間違いないだろう。 こういった選手たちが、セリエBで数多くプレーの機会を得ながら才能を開花し、やがてセリエAでポジションを勝ち取ることができれば、イタリア代表入りを果たすこととなるはずだ。セリエB育ちのイタリア人選手がセリエAで増えることになれば、アッズーリの捲土重来は、そう遠くない未来に見られるかもしれない。 (文:佐藤徳和)
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