イタリア代表復権の鍵はセリエB? 真の強豪に返り咲くために。 "メイド・イン・イタリー"プロジェクトの全貌【コラム】
⚫️「中盤には高いレベルの選手が存在する」
「ユース世代の指導者は、ポゼッションのためのトレーニングばかりをする。そのため、中盤には高いレベルの選手が存在する」と言及している。ミランには、16歳ながらU-19イタリア代表のエースとなり、セカンドチームで今季からセリエCに加盟したミラン・フトゥーロでプレーするフランチェスコ・カマルダがいる。 文字通り、未来を意味する"フトゥーロ"を背負う存在であるが、今のイタリアは16歳の少年に期待を寄せなければならないほど、ストライカーが不足している状況だと言えよう。ビッシディは「17歳までは、我々イタリアも優れたCFを擁するが、それ以降は不在となる。その原因は二つある。一つは、ドリブル、ヘディングシュート、シュート、相手のマークを外すといったCFを養成するためのトレーニングをしていないからだ」 「もし私が、競泳の自由形の選手であれば、バタフライの選手と一緒には練習はできない。自由形のための特別なものは何一つ得られることはないからだ。確かにサッカーはチームスポーツである。しかし、ピッチの中には特定のエリアや役割があり、その中で、ある動きが他のポジションでの動きよりも大切なものとなってくる」と、CFのために特化したトレーニグが不足していると力説する。 そして、二つ目の問題は、「指導者が、『簡単に! 簡単にやれ!』と叫べば、若い選手は萎縮し、最低限必要なことだけをするようになってしまう。そうすると、選手の才能は伸びず、ありふれた選手になってしまう」と話し、指導者たちの指導法に問題があることを指摘している。ドリブラーが多く育たないイタリアの要因はこういったところにもあるのだろう。
⚫️グローバル化が進むセリエA。一方でセリエBでは…
左ひざ前十字靭帯断裂により長期離脱を強いられているアタランタのジャンルカ・スカマッカの早期復帰が待たれるが、イタリア代表組以外でも所属クラブでレギュラーとしてプレーするCFは極めて少ない。 ウディネーゼのロレンツォ・ルッカ、ジェノアのアンドレア・ピナモンティ、エンポリのロレンツォ・コロンボ、カリアリのロベルト・ピッコリ、コモのパトリック・クトローネといった限られた選手ばかりで、ユベントス、インテル、ミランのビッグクラブには、イタリア人選手の点取り屋は不在だ。 もはや、イタリアで国内産のストライカーは絶滅危惧に瀕しているといっても過言ではないだろう。だが、イタリアも手をこまねき、ただ事態を傍観しているだけではない。セリエBでは、多くのイタリア人選手を揃えたクラブが増えつつあるのだ。 セリエAでのイタリア人選手が減少していることは、当コラムの『“史上最弱”のイタリア代表に未来はあるのか。セリエAで選手が育たない問題、かつての名将が提言する再生計画とは』で指摘しているが、そのセリエBでは、「イタリア人によるカンピオナート(リーグ戦)」をスローガンに、イタリア人選手の起用が顕著に増加している。