イタリア代表復権の鍵はセリエB? 真の強豪に返り咲くために。 "メイド・イン・イタリー"プロジェクトの全貌【コラム】
⚫️フランス撃破にも警鐘を鳴らすレジェンドの存在
1994年W杯で、アッズーリを準優勝に導いた名将アリーゴ・サッキは、試合後にこう振り返っている。 「パルク・デ・プランスで戦うこと自体が容易なものではないのに、キックオフから数秒でゴールを許してしまっては、問題は信じられないほど大きくなってしまう。しかし、選手たちは、私を驚かせた。彼らは犠牲的精神を備え、ひたむきにプレーし、強い意志を持って戦い、劣勢の流れをひっくり返した。早い時間での失点に、精神的に崩れることもなく、イタリアが重要なナショナルチームであるということをもう一度示そうとしたのは、本当に素晴らしかった」と手放しで称えた。 その一方で、「もちろん、フランスのパフォーマンスを考えると、リードを奪った後の彼らの傲慢な態度を見逃すことはできない」と先制後のフランスの戦い方に問題があったことも指摘している。 さらに「この勝利を満喫し、この成功に至った理由を振り返らなければならない。とりわけ、今日のような戦いを継続し続けることが必要だ。私は満足はしていない。 一つの試合の素晴らしいパフォーマンスだけで、『我々は立ち直った』とは言うことはできない。トンネルを抜けるためには、まだ高いレベルの試合を続けることが不可欠だ。フランスを彼らのホームで倒したからといって、自分たちが超一流の選手たちであると思い込んでしまったら、大きな問題になってしまう」と一喜一憂することのないように強調した。 10日のイスラエル代表との第2戦は、同国がガザ紛争下にあるため、ハンガリーのブラペストでの開催となった。FIFAランキング79位の相手に対し、序盤から押し込まれる場面が続く。それでも38分、ディマルコの左サイドからのクロスをフラッテージが胸で叩き込み、先取点を奪う。フラッテージはこの得点で、代表での通算ゴールを7に伸ばした。
⚫️リッカルド・カラフィオーリの不在、そして…
インテルではベンチスタートが多いものの、イタリア代表チームではトップスコアラーを維持。ボックス内でのストライカーのような冷静沈着な動きで得点を積み重ね、アッズーリではスパレッティ監督の信頼を勝ち取っている。 追加点は、この試合で先発に名を連ねたモイス・キーン。GKが弾いたこぼれ球を確実にゴールに押し込んだ。昨季はユベントスで無得点と不振に喘いだが、新天地のフィオレンティーナでは、公式戦で4ゴールと好調を維持し、代表でも調子の良さをうまく持ち込むことに成功した。 終盤には1点を返され、無失点で試合を終えることはできなかったが、なんとか勝ち点3を手に入れることは成し遂げた。結果は出したが、内容は決して喜べるものではなかった。特にフランス戦で負傷したリッカルド・カラフィオーリの不在は大きく感じさせるもので、守備では3バックの間にパスを通され、決定機を許し、攻撃ではアレッサンドロ・ブオンジョルノが後方から攻め上がりを見せたが、パスの精度を欠いていた。 「史上最悪のパフォーマンス」と糾弾されたEURO2024の悪い流れを絶つことはできたかもしれないが、多くの国が畏怖の念を抱いたかつてのイタリアには遠く及ばない。その問題の一つは、ストライカーの欠如だ。 1982年W杯得点王のパオロ・ロッシ、先日、逝去した1990年同大会得点王のサルバトーレ・スキラッチ、ワンタッチストライカーのフィリッポ・インザーギといった9番タイプの点取り屋を数多く輩出してきたイタリアだが、CFの不在が問題視されている。イタリア代表アンダー世代のコーディネーターを務めるマウリツィオ・ビッシディはこう分析する。