「家の外では日本語を話すな」…“小学生刺殺”で中国在留日本人を襲う恐怖 「南京事件の日」は全校休校 警備費用に「税金4300万円」
真相を明らかにしない中国当局
今年6月24日に、江蘇省蘇州市でスクールバスを待っていた日本人母子らが不審者に襲撃され、助けに入った中国人女性(54)が刃物で刺されて死亡した。9月18日には、広東省深セン市で日本人学校に登校中の男子児童(10)が刺殺される事件が発生した。 深センの日本人学校は10月14日、学校での授業を再開させたが、これまで半数以上の生徒が徒歩通学だったものが、当面は送迎バスや自家用車による通学を基本として、送迎バスの本数やバス停を増やすようにしている。ただ、送迎バスの利用料金は1カ月に1人2万円を超える。複数の子どもがいる家庭は負担が大きくなることから、今後の新たな通学態勢と恒久的な警備態勢について早急に対応する必要が生じた。日本政府は事件後、中国国内の日本人学校12校の警備を強化するため外務省予算から緊急に約4,300万円を充てる方針だ。
4つの記念日
一方で、これら2つの殺人事件で逮捕された犯人の動機などは、公表されていない。深センの事件では44歳の男性が、蘇州の事件でも52歳の男性が逮捕されているが、中国政府は2つの事件とも「偶発的な事件」だとして、日本側が求める動機や背景の説明に応じていない。このような中国当局の隠ぺい体質によって、日本側の安全対策の立案にも支障が生じることになる。 深センの事件があった9月18日は日本軍による満州国建国のきっかけとなった「柳条湖事件」の93周年で、中国にとっては恥辱を受けた日とされる。同様の記念日は前述の(1937年)12月13日の南京事件の日、さらに日清戦争後に日本から出された対華二十一箇条要求を承認した(1915年)5月9日、日中戦争の発端となった盧溝橋事件の(1937年)7月7日と計4日あるが、これらの日には、今後も日本人を襲うなどの同様の事件が起きないとは言い切れず、今回の事件の動機などの解明は日本にとってはぜひとも必要と言わざるを得ない。