ジトッとした汗は熱中症の原因に 暑さに体を慣らしサラサラ汗をかくための“1日15分運動”と積極的に摂りたい食材
まだ4月だというのに季節外れの暑さにより、早くも熱中症患者が増えている。 その理由は、体を暑さに慣れさせる「暑熱順化(しょねつじゅんか)」が進まず、上手に汗がかけないため、体温を調整する機能が十分に整っていないためだという。 【画像】良い汗をかくためのトレーニングは?おすすめの食べ物も… 「暑熱順化」を進めるための有効なトレーニングと、積極的に摂りたい食材などについて、いとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長に聞いた。
うまく汗がかけず体温調節に失敗
ーーこの時期の熱中症の原因は? この時期の熱中症は、7月、8月の真夏の熱中症と違って、少しずつじわじわと起こる熱中症が多いです。 3~4時間の炎天下での作業で進む脱水や電解質のバランスの異常などが原因です。 従って、日をまたいで発症する人もいます。 火曜日に来院した患者さんは、土曜日、日曜日の暑さが体の中にダメージを与えて脱水が進み、2日経っても症状が改善しないために診察に来ました。 2日間かけて発症した熱中症で、本人は熱中症とは思っていませんでしたが、脱水と電解質不足による低ナトリウム血症の症状が進んでいました。 ーー急に暑くなったことが原因? そうです。 特に新しい社会人や就職活動中の人は黒っぽいスーツを着て、重いバッグを持っていたり、学生は制服を着てリュックなどを背負っている人が多いです。 新しい環境で緊張する中、急激に暑くなると、まず暑さで体の中のストレスが大きくなります。 さらに、体が暑さに慣れるための「暑熱順化」が進んでいないため、体温を調節する機能がまだ十分に整っていません。 そのため、暑いと思ってもうまく汗がかけず、厚手の服の中に熱がこもってしまい、いつの間にか熱中症になってしまいます。
服装管理と汗をかく機能を高める
めまいや吐き気、頭痛や食欲不振などを引き起こす熱中症。 暑さに体が順応していくためには、大きく分けて2つの方法があるという。 ーー熱中症はどういった症状? 熱中症は、脱水と体温の上昇、電解質のアンバランスを伴いますから、めまいや吐き気、頭痛や食欲不振などが見られます。 単なる疲れだと思って気付くのが遅れると、症状が重くなったり、長引いてしまうことがあります。 ーー暑熱順化に必要なことは? まず、すでに暑くなっていることに自分で気付く必要があります。 暑さに体が順応していくためには、大きく分けて2つの取り組みがあります。 1つ目は、毎日の気温を確認して、暑くなるかどうかを正確に把握することです。 午前中は涼しいけれど、昼になると暑くなり、直射日光もかなり強い日があります。 こうした日に厚手の洋服を着たり、水分補給が不十分だと熱中症になります。 朝の比較的涼しい時間にその日の気温を予想してしまうと大きな失敗に陥ります。 また、日差しが強い中では、直射日光をなるべく浴びないように、日傘などをうまく使うと良いでしょう。 日焼け止めは紫外線をカットする力は強いですが、赤外線をカットする力はさほどありません。ですから日傘をさすなどの対策が必要です。 2つ目は、汗をかく機能を高めることです。 汗には、質の良い汗と悪い汗があります。 汗をかく機能が十分に整っていないと、ナトリウムなどの電解質の喪失が大きい、「ジトッとした濃い汗」をかきます。 良い汗というのは、電解質の喪失が少なくて「サラッとした水のような汗」です。 従って、暑くなった時にサラッとした汗が肌をつたうように出てくるのが良い汗のかき方です。 寒くなったり、暑くなったりを繰り返すジグザグ天気の中での暑い日の汗は、日ごろから運動している人でない限り、良い汗ではない可能性があります。 電解質の喪失が大きいジトッとした汗によって、体の中のナトリウムが減少し、脱水と一緒になって吐き気やめまい、頭痛を起こしやすくしています。