弾劾決議案「不成立」、首の皮一枚で残った韓国・尹錫悦大統領、推し進めてきた日韓関係改善はどうなる
■ 弾劾決議案、不成立 7日夕刻開催された国会では、与党議員は、数名を除き投票に加わらなかった。国会のウ・ウォンシク議長は与党議員にも投票を呼び掛けたが、8名の議員の賛成票は得られないまま、投票の刻限が迫り、議長は可決できなかったとして本会議を閉会した。 こうして、尹大統領の弾劾決議案は否決された。だが、今後も共に民主党は、即刻11日に弾劾決議案の再提出、14日投票を模索しているようである。その間共に民主党は与党に圧力をかけるため大規模集会の開催など国内の混乱を助長するのではないか。また、来年度の予算案には承認しない姿勢を取り続けるだろう。国政は一層混乱するはずだ。 政府与党では、8日韓東勲国民の力代表と韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理が会談した後、国民談話を発表し、「退陣前でも尹錫悦大統領は外交を含む国政に関与しない。国民や国際社会が憂慮しないようにする」と述べた。さらに「秩序ある大統領の早期退陣で韓国と国民に及ぼす混乱を最小限に抑えながら安定的に政局を収拾し、民主主義を立て直す」と表明した。さらに「党代表と首相との会合を定例化し、国政空白がないようにする」と明らかにした。 今後の韓国政治の焦点は、党代表と首相が大統領の抜けた穴をいかに埋めていくかである。同時に、今後大統領制をいかに変えていくか注目したい。 仮に、弾劾決議案が提出され採択された場合には、大統領の職務は一時停止され、憲法裁判所で審議されることになっている。憲法裁判所は180日以内に最終的な決定を言い渡すことになるが、裁判官9人のうち6人以上が妥当と判断すれば、大統領は罷免され、60日以内に大統領選挙が行われるという流れになる。 今の状況では、そこで行われる大統領選挙において、共に民主党系の候補者が大統領に当選する確率は高い。逆に言えば、尹大統領は弾劾決議案の採択を防ぐためにも、与党の方針に妥協していかざるを得ないのだ。