【神戸新聞杯】メリオーレムは上がり馬でNo.1のPP指数を記録 メイショウタバルは平均ペースなら強い
メイショウタバルの出方ひとつ
先週のローズSのコラムで中京芝2000mは逃げ、先行馬が有利な舞台であることを書いた。結果、最後方からレースを進めた断然1番人気のレガレイラが5着に敗れ、逃げた11番人気のセキトバイーストが3着となった。 【神戸新聞杯2024 推奨馬】回収率100%超えなど好データ目白押し!前走タイムは歴代屈指 SPAIA編集部の推奨馬を紹介(SPAIA) 中京芝2000mと同様に、神戸新聞杯が行われる中京芝2200mも前半で急坂を上り、向正面半ばまで緩やかに坂を上っていくコース。ペースが上がりにくい舞台ではあるが、中京芝2000mとは違って初角(1角)までの距離が約500mとかなり長いため、大逃げ馬が出走、あるいは逃げ馬が多数だとペースが上がって差しが決まることも多々ある。 今回は皐月賞で大逃げを打ったメイショウタバルが大外15番枠。同馬の鞍上、浜中俊騎手は強引に押し進めることもあれば、極端に抑えていくイメージもある。 ただ、ほぼゲートを出たなりで先頭に立った毎日杯では平均ペースを刻んでおり、何が何でもハナという馬でもない。判断が非常に難しい馬ではあるが、前走と同じ轍は踏まないとみて予想したい。想定ペースは“平均”だ。
能力値1~5位の紹介
【能力値1位 メリオーレム】 すみれS、プリンシパルSでは3、2着に敗れてクラシックへの出走は叶わなかった。前走の西部スポニチ賞はプリンシパルSから大幅距離延長での出走となった。 前走は1番枠からまずまずのスタートで、軽く促して位置を取りにいったが、そこまで進まず、徐々に下がり4番手を追走した。 スタンド前では前2頭から離れた4列目の内を進み、2周目の3角手前から徐々に進出。3角では最内を通り、4角で先頭列との差を馬なりで一気に詰めて外に進路を取り、そのまま先頭に立って直線に入った。直線序盤で伸びて後続と3/4差。ラスト1Fで突き抜けて4馬身差で完勝した。 3角手前から仕掛けて長くいい脚を使っており、いかにもステイヤーというレースぶりだった。 神戸新聞杯は例年、前走2000m以上に出走していた馬が活躍する舞台。日本ダービー組の上位馬が活躍することが多いが、今年は日本ダービーの1~9着馬が出走しない。「日本ダービー組<芝2000m以上の条件戦」の勢力図が作られている。 芝2000m以上の条件戦組が多数出走するが、西部スポニチ賞の指数がNo.1。メリオーレムはここでは一番の上がり馬ということになる。 気になる点を挙げるなら、成長する前とはいえ中京芝2200mのすみれSでサンライズアースに4馬身半差も離された3着に敗れていることだが、このレースでは3~4角で包まれ、スムーズな競馬ができなかった。 すみれSのサンライズアースは前半3Fという早い段階から脚をタメており、100点満点に近い立ち回りだった。メリオーレムも同馬のようにスムーズにいけば、もっと着差は詰まっていただろう。メリオーレムは長距離がベストだが、芝2200mも悪くない条件。能力値1位のここで本命に推す。 【能力値2位タイ ジューンテイク】 今春の京都新聞杯の優勝馬。同レースでは1番枠から五分のスタートを切り、そこからかなり押して、2列目の内目を確保する形。道中はかなりのスローペースで逃げるウエストナウの後ろで、スペースを維持して進めた。 3~4角で外から各馬が動いていくなかで、2列目の最内で我慢して直線へ。直線では序盤で最内を突いてしぶとく伸び、ラスト1Fではそのまま抜け出して1馬身差で完勝した。 前半はややかかってはいたが、枠と展開を最大限に生かす、完璧な騎乗だった。京都新聞杯までのレースではスピード不足で先行できず、中団からの追走でキレ負けするパターンが目立っていたが、ここではポジションを取って、上がりの速い決着にも対応できたことが大きい。こういう競馬ができれば、幅広い展開に対応できるはず。 前走の日本ダービーは、逃げ馬不在で京都新聞杯以上のスローペース。かかって3~4角で最内を通りながらも伸びず、10着に敗れた。前々走の京都新聞杯で日本ダービーの出走権(賞金加算)を取りにいって好走した疲れもあったようで、度外視できる内容だった。 今回はメイショウタバルが出走するので、近2走よりもペースは速くなるだろう。巻き返しに注意だ。 【能力値2位タイ バッデレイト】 今年5月に初出走と遅いデビューになったが、京都芝2200mの未勝利戦と、重馬場で行われた宝塚記念当日の木屋町特別を連勝。デビュー3戦目の阿賀野川特別で大接戦の2着に入り、芝2200m以上の条件戦でメリオーレムに次ぐ2位の指数を記録した。 阿賀野川特別では6番枠から五分のスタートの後、ややふらついたがすぐに立て直して二の脚で楽に先行。外のサトノシュトラーセがハナを主張したので、やや位置を下げた。同馬を行かせて、2列目の中目を追走。道中も好位の中目を追走して3角に入った。 3~4角では3列目の外でアスクナイスショーをマークしながら直線へ。直線序盤で追われたが、サトノシュトラーセもしぶとく加速してラスト2F目ではまだ2列目付近。ラスト1Fで伸びて、外のピースワンデュックとの叩き合いになり、ハナ差の2着に惜敗した。 前走では2着に敗れたが、前々走から大幅に指数を上昇させており、大健闘だった。それゆえに今回は余力の面で不安がある。本馬はこれまでのキャリアが3戦と浅く、まだまだ伸びしろが見込めるが、前走指数はメリオーレムよりも劣り、春のクラシック組もなんだかんだ夏場の休養中に成長している場合が多いことを考慮すると、そこまで評価できない。 【能力値4位 ゴージョニーゴー】 昨秋の京都芝2000mの新馬戦では7頭立ての6着と大敗したが、そこから立て直されて2月の未勝利戦を勝利すると、次走の1勝クラスも出遅れを挽回してマクり、押し切った。 前走の札幌日刊スポーツ杯は6番枠から五分のスタートを切り、軽く促して位置を取りにいったが、あまり進まずに中団中目からの追走となった。 道中はかなりのスローペースで馬群が凝縮したが、中団中目で折り合って進み、2週目の3角手前で外に進路を取った。 3~4角で外からハヤテノフクノスケが上がってくると、それに抵抗して仕掛けて先頭列横一線で直線へ。直線序盤でゴージョニーゴーの後ろにいたフェミナフォルテに突き抜けられ、ハヤテノフクノスケとの叩き合いで2番手争いになった。最後に外からカフェグランデにわずかに差されたが、ハヤテノフクノスケとの叩き合いはハナ差で制し、3着となった。 ゴージョニーゴーは中距離ではスタートも二の脚も速い馬ではないが、距離を延ばしたことで改善されて上昇した。この馬もまだキャリアが4戦と浅く、まだ伸びしろが見込める。しかし、前走指数はメリオーレムよりも劣り、春のクラシック組よりは評価が下がる。また、この馬の前走指数はバッデレイトよりも低い。 【能力値5位タイ メイショウタバル】 デビュー4戦目の若駒Sはレース直前の歩様の乱れで除外となってしまったが、それを除けば昨年12月の未勝利戦から3連勝で重馬場の毎日杯を優勝した。 毎日杯では4番枠からまずまずのスタートを切り、ハナを主張。道中は1馬身のリードを保ちながら進め3角で息を入れた。4角出口で後続をすっと引き離してリードを1馬身半差まで広げて直線へ。そこからどんどん後続を引き離して5馬身差、ラスト1Fでリードを広げて6馬身差の圧勝だった。 毎日杯当日は、10Rの丹波特別(2勝クラス、阪神芝1600m)でも、7頭立ての4番人気ヒルノショパンが逃げ切り勝ちを収めているが、このレースは5F通過が61秒1とかなりのスローペース。毎日杯は芝1800mで前半5F59秒6と平均ペースまで速くなった。 重馬場でかなり時計が掛かっていたことは明確で、豊富なスタミナがなければ逃げて圧勝することはできなかったはず。ここではメンバー中でNo.1の指数を記録している。 前走の皐月賞は5F通過57秒5と超高速馬場を考慮しても暴走レベルの逃げ。しかもこの馬はテンがそれほど速くなく、2番枠から押した上でこのペースだから、かなり苦しい競馬だった。 今回はスタミナが不足しがちな休養明けで距離延長、インコースの馬場が悪化と、逃げ馬には厳しい条件がそろっているが、平均ペース前後の逃げなら十分に押し切る力はある。日本ダービーの上位馬が不在のここは対抗に推したい。 【能力値5位タイ ショウナンラプンタ】 今春の青葉賞の2着馬。同レースでは15番枠からやや出遅れ、そこからコントロールしながら進んだが、1~2角でかかって中団外まで押し上げてしまった。 向正面序盤でも折り合いに苦労していたが、トロヴァトーレの後ろでなんとか折り合い、3~4角では中団の外で我慢した。 直線序盤で追われると手応えほど伸びなかったが、ラスト2Fで伸びて好位列まで上がった。ラスト1Fで先頭に立ったシュガークンに迫ったが、アタマ差及ばず2着に惜敗した。 折り合いを欠いて位置を押し上げていくロスや、終始外々を回るロスを考えれば、好位の内目をロスなく立ち回った勝ち馬のシュガークンよりも強い内容だった。 前走の日本ダービーは逃げ馬不在でかなりペースが遅く、中団外目でかなりかかった。3~4角で内を通った馬が上位を占めるなかで、外を回るロスがあり15着に敗れた。 折り合いに大きな課題があり、ハイペースの内枠がベストのタイプだ。前走は能力を出し切る内容ではなかったことから、ジューンテイク同様に軽視はできない。メイショウタバルがペースを引き上げる流れになれば、折り合いが楽になるのでチャンスはある。 【能力値5位タイ オールセインツ】 デビュー2戦目で挑んだ京都新聞杯では後方内目を進みながら、末脚不発で13着大敗。その後は自己条件の1勝クラスと月岡温泉特別を連勝と着実に地力をつけた。 前走の月岡温泉特別では7番枠から五分のスタートを決めたが、かなりペースが遅かった。道中は好位の外目を追走。3~4角でも仕掛けを待って、3列目の外から直線に入った。 直線序盤で追われても反応はひと息だったが、ラスト2Fで鞭を一発入れると3番手まで上がった。ラスト1Fでも伸びて前2頭を差し切って勝利した。 このレースでは最速の上がり3Fタイム32秒3をマークしたが、4着ナムラフッカーも同じ上がり3Fタイムを記録しており、2、5着馬も上がり3Fタイムは32秒4。前後半5F64秒6-57秒1のかなりのスローペースで、速い上がりが出た面もある。 前々走の1勝クラスでもメンバー最速の上がり3Fタイムを記録しているが、このレースもかなりのスローペースだった。 前走は好位の外と、ある程度前の位置を取って、メンバー最速タイの上がりを記録している点は褒められる内容。ここへ来て地力を付けているのは確かだろう。 しかし、この字面の数字を素直に受け取るのは危険。この馬も前走指数をメリオーレムらと比較するとやや見劣り、評価が下がる。