財政破綻のJBCが亀田興毅氏らへ賠償金約1億円を満額支払う…東京ドームの支援を得て復活へ…“行列の”北村弁護士は「膿を出さねば改革は難しい」と不安視
結局、減額されることなく、全額の支払いが可能になったのは、懸念だった資金援助があったからだ。一般財団法人法によれば、令和3年度の決算でマイナス約4000万円となっている純資産を300万円以上に戻すことができれば、解散した法人を復活できるため、JBCは水面下でスポンサー探しに奔走してきた。そこに手を差し伸べたのが東京ドームだ。 東京ドームは1952年に白井義男氏の日本初の世界戦を実現するためにJBCが設立された当時の後楽園スタジアム時代から二人三脚で歩んできた会社で、歴代のコミッショナーは現在の長岡勤氏まで同社の社長が兼務してきた。 永田理事長、成富事務局長の出身母体でもあり、JBCの評議員で一連の裁判で負けた弁護士を送り込むなどしてきた。本来ならば、JBCが解散に追い込まれる前に支援すべき立場にあったが、三井不動産に買収され、その傘下となったため、三井不動産側の理解がなければ簡単には資金援助を続けることができなかった。 だが、三井不動産側が、プロボクシングの価値とJBCの重要性を認めて理解を示したため、最終的に組織の改革と今後の再建プランを提示することを条件に東京ドームが引き続きの支援を決めたものとみられる。 JBCの再建には、この亀田裁判の賠償金も含めて約2億円が必要だったが、東京ドームは、それだけの支援を行う方針を固め、まずは亀田裁判の賠償問題に決着をつけたようだ。 JBCの財団法人の復活に向けて大幅な組織改革にも手がつけられることになり、清算法人の責任者である永田理事長と浦谷執行理事の退任が決定した。 両者に関しては、2020年の大晦日の井岡一翔(志成)と田中恒成(畑中)のWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチにおける井岡のドーピング疑惑騒動が起きた際の不手際などがあり、協会サイドは、これまでも再三にわたり浦谷執行理事の退任を強く要求してきた。2人は進退伺いを提出していたが、JBCの理事会で承認されることはなく、JBCは「人事に関する要求は受け付けない」と協会の要求も拒否してきた。 その後も、寺地拳四朗(BMB)と矢吹正道(緑)のWBC世界ライトフライ級タイトルマッチの再戦問題に関する不手際なども起きて組織としてのガバナンスを問われる状況が続き、責任問題も組織の改革、改善も宙に浮いたままだった。