マイクロソフトの新OS「Windows 10 S」、ほかのWindowsと何が違う?
Windows 10 Sは、Windows 10 Proにアップデートできる
加えて、このWindows 10 Sを搭載したパソコンにはWindows 10 Proにアップデートできる権利がある点も、見逃せません。つまり、“使えるソフトはWindowsストアで配布されるものに限る”という機能制限を解除できるのです。 Surface Laptopでは、2017年内に限りこのアップデートを無償で提供するとアナウンスされており、これはSurfaceブランドの高品質なWindows 10 Pro搭載ノートパソコンを安価で手に入れられる“公認の裏技”だと言えるのではないでしょうか。 教育機関向けビジネスや低価格パソコンの領域では、Googleが開発したパソコン向けOS「Chrome OS」が近年勢いを伸ばしており、コストパフォーマンスに優れるWindows 10 Sの発表はこうした動きへの対抗という見方もあります。その上で、Windows 10 SがWindows 10 Proにアップデートできるオプションを付加している点は、Chrome OSに対する大きな優位性だと言えるでしょう。
ちなみに、Windows 10 S搭載パソコンがWindows 10 Proに有償でアップデートする場合の価格について、日本マイクロソフトに聞いたところ「日本での価格はまだアナウンスしていないが、米国では49ドル(約5千円)でアップデートに対応すると発表している。教育機関でのアップデートには無償で対応する」と回答。 また189ドル(約2万円)からという安価なWindows 10 S搭載パソコンの日本への導入時期については「あくまで各社が決定することなのでコメントする立場にないが、米国でアナウンスされたメーカーの多くは日本国内で展開しているので、検討しているのではないか」とコメントしています。 いずれのメーカーもまずは教育機関向けモデルから展開することが考えられますが、今後ニーズの高まりを受けて一般消費者向けのWindows 10 S搭載モデルの登場も十分に期待できます。 ノートパソコンを日常的に活用することが多い学生やビジネスパーソンにとって、このコストパフォーマンスの高さは大きなメリットになるのではないでしょうか。スマートフォンやタブレットPCの普及に押される形で、近年パソコンの販売台数は大きく落ち込んでいますが、パソコンの生み出す強力な生産性は、いつまでも捨てられない価値だということもできます。Windows 10 Sが、停滞するパソコン市場にとってカンフル剤となるのか、今後の動向に注目したいところです。 (執筆:井口裕右/オフィスライトフォーワン)