【40代・50代は知っておきたい】外出時の災害から身を護るために、国際災害レスキューナースが「防災ポーチ」に入れているもの
災害発生の緊急時を乗り切る 17個のアイテムをポーチにイン
辻さんが外出時に常に持ち歩いている防災ポーチには、17品入っているそう。 「私の場合は自分自身の身を護れることは当然で、誰かを護るのが仕事。そのためのグッズも入っているため、皆さんが防災ポーチを作るときは全部がこのとおりでなくてもいいと思います。とはいえ、誰にとっても役立つものがいくつかあるのでご紹介します」 辻さんのポーチに入っているのは、常備薬、紙石鹼、携帯用の災害トイレ、ウェットティッシュ、絆創膏、生理用品、レジ袋、脇汗パッド、レスキューシート、大人用レインポンチョ、アルコール消毒ミスト、ハッカ油、アロマオイル、のど飴、アルミスプーン、穴を開けたペットボトルキャップ、マスキングテープ。 「携帯トイレは前述したように、災害時にはトイレ待ちが発生するため。ハッカ油は用を足したあとの消臭や殺菌に使えます。 脇汗パッドは高分子吸水ポリマーを使っているので、例えば発熱した際に水を含ませて冷やすことができます。 アルミスプーンはどこかに閉じ込められたり何かが挟まってしまった場合、こじ開けるためなどの工具として使えます。 マスキングテープは止血テープや名札代わりに使え、避難所などではゾーニングをすることもできます」 防災グッズのポイントは、ひとつのものを「どれだけ多用途に使えるか」で考えること、と辻さん。 「本来の目的でない使い方はメーカーさんは推奨しないと思いますが、自分を護るのは自分です。やわらかい頭を持って、例えばマスキングテープなら10通りくらいの使い方を思い描けるといいですね。 防災グッズをそろえるときの落とし穴で、『プロが使う〇〇』みたいなグッズを高いお金をかけて買う人がいます。もちろん、日頃からそれを使えていれば災害時でも役に立つでしょう。でも結局使いこなせず『お守り』になってしまっていることが意外と多い。 だったら安くてもいいので、日常的に使うアイテムを『どう汎用できるか』自分で試しながら見つけていくほうがよほど実用的。これこそが日常の延長にある防災です。防災に本当に必要なのはグッズそのものではなく、スキルなんですね」
【教えてくれたのは】 辻 直美さん 国際災害レスキューナース。一般社団法人育母塾代表理事。1991年、看護師免許取得。1993年「国境なき医師団」の活動で上海に赴任。帰国後、阪神・淡路大震災で実家が全壊したのを機に災害医療に目覚める。以降、国際緊急援助隊医療チーム(JMTDR)において国内外の被災地で活動。現在はフリーランスのナースとして講演、防災教育、被災地支援活動を行う。『レスキューナースが教えるプチプラ防災』(扶桑社)ほか、防災関連の著書多数。 イラスト/ミヤウチミホ 取材・文/遊佐信子