25歳のやり投げ女王・北口榛花の素顔。世界を転戦するバイリンガル、ライバルからも愛される笑顔の理由<RS of the Year 2023>
WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)、ラグビーワールドカップ、サッカー・FIFA女子ワールドカップ、世界陸上、バスケットボール・FIBAワールドカップ……数々の世界大会が開催され、多くのアスリートの活躍に心揺さぶられる1年となった2023年。一方で、小野伸二さん、石川佳純さん、岩渕真奈さんなど、長く第一線で競技を背負ってきたレジェンド選手たちが現役引退を決意したことも印象的な一年となった。そこで、結果や勝敗だけではないスポーツの本質的な価値や魅力を伝えてきた『REAL SPORTS』において、2023年特に反響の多かった記事を振り返っていきたい。今回は、25歳のやり投げ世界女王・北口榛花選手のインタビュー記事だ。 (2023年10月30日公開) =================================
今年8月の世界陸上2023ブダペストで日本陸上界の新たな歴史を作った北口榛花(JAL)は、弾けるような笑顔と愛くるしいキャラクターも魅力だ。圧倒的な実力とその人柄で、各国からのライバルからも慕われる25歳のやり投げ女王の素顔とは? 高い運動能力の原点や、チェコ語を流暢に操る理由、ユニークなSNSの発信や、オフの過ごし方にも迫った。 (インタビュー・構成=松原渓[REAL SPORTS編集部]、写真=YUTAKA/アフロスポーツ)
身体能力の原点。さまざまなスポーツに触れた幼少期
――北口選手は3歳から水泳を始めて、小6の時にはバドミントンの全国大会で優勝(団体戦)するなど、幼少期からスポーツ万能でしたが、運動神経の良さはどのように培われたんですか? 北口:幼稚園の頃から体が大きかったですし、一人っ子なので小さい頃から両親と公園でボールを投げたり、野球やサッカー、テニスなどをしていたことも大きかったんじゃないかなと思います。 ――その中で、やり投げに絞った理由はなんだったのですか? 北口:中学校に上がる段階でバドミントンはやめましたし、水泳もオリンピックを目指すレベルではなくて、陸上のほうが成績が良かったんです。練習時間や試合の日程で両立できなかったので、高校2年生の時に陸上に絞りました。 ――本格的にはじめてからは世界ユース選手権で世代新記録、日本新記録など順調にタイトルと記録を積み重ねてきましたが、どんなことが結果への原動力になっていたんでしょうか。 北口:小さい頃からスポーツをやってきて、いろんな試合に出させてもらっていたので、種目が変わっても、どうやって試合に臨めばいいかが常にわかっている状態でした。例えば水泳は体をしなやかに動かさないと泳げないですし、バドミントンは腕を振る動作が重要で、それはやり投げに直結しているなと感じます。やり投げのポールを投げる感覚とはまた違うのですが、バドミントンから転向したところが生きています。