25歳のやり投げ女王・北口榛花の素顔。世界を転戦するバイリンガル、ライバルからも愛される笑顔の理由<RS of the Year 2023>
喜怒哀楽を全身で表現。SNSでは毅然と問題提起も
――今年8月のブダペスト世界選手権で逆転優勝を決めた時、全身で喜びを表現する姿や、弾ける笑顔が印象的でした。その姿に元気をもらった人も多いと思いますが、昔から喜び方はストレートなほうだったんですか? 北口:そうですね。でも、基本的に喜んでるより怒っていることのほうが多かったです。特に、バドミントンとかの時はよく怒っていて、うまくいかないと、いろいろしてしまう子どもだったので……(苦笑)。先生や親から「それは良くない」とよく注意されていました。 ――今でも記録が伸びない時に悔し涙を見せることがありますが、昔は今以上にストレートだったんですね(笑)。 北口:良く言えばストレートですけど、悪く言えば抑制ができなくて(笑)。今はそんなことはないですけど、勝った時はほとんど何も考えずに喜んでいるので、後から写真や映像で見て、「私こんなことをしてたんだ」って、恥ずかしくなる時もありますよ。 ――SNSでもユニークなコメントやご自身の思いをつぶやいていますよね。 北口:基本的には言いたいことがあったらつぶやいたり発信しているので、マネジメントの方からすると大丈夫?と思う時もあるとは思うんですけどね(笑)。やっぱりアスリートも一人の人間なので、そういうところを見せてもいいんじゃないかなって思ってます。 ――親しみやすくてとってもいいと思います。9月には、世界選手権で運営側のミスにより、試合前にピン変更を求められた選手がいたことについて、「強くNO と言うことの必要性」をX(旧Twitter)で投稿して問題提起されました。あの時はどのような思いだったんですか? 北口:あの時は「言ったほうがいいな」と思ったんです。私は当事者ではないのですが、巻き込まれてしまった選手たちのSNSを見ても、アクシデントの詳細まで書いている選手はいなかったんです。ただ、海外の選手だったら絶対に抗議をするところなので、「日本人は何も言わずに受け止めるんだな」と思われるかもしれないなと。2025年には世界陸上が東京で行われるので、「日本ではそういうことが起きないようにしたい」という気持ちもあって、今回起きたことを現役選手や、これからトップアスリートになる選手、東京大会の際にボランティアなどで陸上に関わってくださる人たちも含めて共有することが大事だと思いました。 ――陸上界の未来を考えて発信したメッセージだったんですね。 北口:そうですね。その後にいろんな人がリアクションしてくださって、陸上界の方や選手たちも公式にコメントを出してくれたので、よかったなと思います。