25歳のやり投げ女王・北口榛花の素顔。世界を転戦するバイリンガル、ライバルからも愛される笑顔の理由<RS of the Year 2023>
帰国後は「納豆ブーム」到来。オフには他競技も観戦
――オフはおいしいものを食べに行くのが好きだそうですね。パティシエのお父様が作るスイーツはその一つだと思いますが、試合の前などに食べる勝負飯はありますか? 北口:勝負飯は決めていなくて、いつも試合で行った場所のおいしいものを食べるようにしています。国内で試合をしていた時は、「大事な試合の前にはうなぎを食べる」とか、そういうのをやっていたんですけどね。海外では手に入らない食材が多いので、「勝負飯」っていうのは作っていなくて。試合の時間が長いので、合間にカステラを食べることはありますが、カステラも日持ちするものではないので、そこはあまりこだわっていないです。試合の日はバナナとかチョコレートとか、その日の気分によって持っていくものを変えたりしています。 ――X(旧Twitter)で、「ご飯、納豆、味噌汁、焼き茄子が最高」と書いていましたね。 北口:日本人からすると、普通に食べられるものじゃないですか。でも、(海外の)大会から帰ってきて次の日に食べたら本っ当においしく感じて。チェコではタイ米のようなお米を食べているので、いつも炊き方を変えて、日本のお米みたいに炊いてるつもりだったんですけど、やっぱり日本のお米を食べたら「日本のお米おいしいじゃん!」って。納豆も、3カ月半ぶりぐらいに食べて、それから納豆ブームが始まって、今も毎日食べています。 ――プライベートでは女子バスケットボールのWリーグを見に行ったり、バレーボールや全日本実業団陸上など、他の競技もよくご覧になっていますよね。スポーツ観戦が好きなんですか? 北口:そうですね。長い時間じっとしていられないので、試合時間が長い競技はあまり見る機会がないんですが、バドミントンとかバスケットとか卓球とか陸上とか、点数が入りやすい競技は好きでよく見ています。JALのアスリート社員で、他の種目の選手もいるので、その選手たちの試合をライブで見たり、結果も気にして見ています。仲間だから気になるっていうのもあるんですが、他の競技も見るのは好きですね。 ――どんなポイントを見ているんですか? 北口:バスケットだと、解説している人の情報をじっくり聞いたり、どの解説者のお話が面白いかな、とか。引退した選手が話している時は、その人のプレイを見たことがあるので楽しめますし、自分の経験を交えながら解説する方もいて、当時のエピソードを聞いて楽しんでいます。 私自身、小さい頃にいろんな競技をやっていたこともあって、バドミントンだったら山口茜選手が小さい頃からスーパースターだったのでよく見ますし、水泳も、小さい頃に見ている選手が現役で活躍しているので、テレビなどでやっていると見ています。 ――見ることに関してもプロなんですね。今後はアスリート同士の横のつながりもさらに広がっていくといいですね。 北口:そうですね。私は日本にいなくてなかなか会えないというか、まだ友達が少ないので(笑)。今後、そういうつながりができたらいいなと思います。 ――最後に、北口選手の活躍でやり投げに興味を持った方々にメッセージをお願いします! 北口:やり投げは、やりが放たれた時にきれいな放物線を描いて、そのカーブが大きければ大きいほど感動があると思います。女子だったらやりの重さが600gと決まっていて、選手はみんな規定で決められている同じようなやりを投げているんですけど、選手一人一人の個性は違って、最終的に現れるその放物線が違うのもすごく魅力かなと思うので。そういった部分にもぜひ注目してほしいです。 各国の選手同士はいつも大会で顔を合わせるライバルなんですけど、やりの貸し借りが普通に行われる競技なので、困ったことがあったらライバル同士でも助け合うのが当たり前になっていて。最近は「やり投げファミリー」と言うぐらい、いいコミュニティーになってきているんです。そういう中で、選手の人柄も感じることができるのは魅力だと思いますし、ぜひ注目してみてほしいですね。 <了>