「私より給料がいいのに...」働かない先輩社員への怒りが生む、人間関係の軋轢
自分より年上のフォローはハードモード
さらに、フォローしている相手が先輩や年長者だと、あからさまな注意や指導もしにくいうえに、自分より給料がいいことがわかっているので、その心理的負担感はさらに大きくなります。 相手に気を使いながら指摘すると「自分のやり方は間違っていない!」と怒って逆襲にあう場合もあるでしょう。そうなると、「よけいな軋轢を生むより、黙って自分がやればいいか」と現状をそのまま飲みこまざるをえず、モヤモヤした気分が残ります。 フォローの1つひとつは小さなことでも、そんな気分を抱えつづけていると、積もり積もって大きなストレスになり「怒り」の感情に変わっていきます。あからさまに相手を非難できない代わりに、その怒りが「目を合わせない」「挨拶を返さない」「言い方がきつくなる」「雑談に応じない」といった、なんとなく相手に冷たくするといった態度に出てしまうのです。 相手は、なんで冷たい態度をされるのかわからず、冷たくするあなたに恐怖心を抱いたり、いじめやハラスメントだと感じたりする危険もあります。 職場の人間関係のこうした軋轢は、おたがいの仕事への意欲や生産性を下げることになります。そして、2人の関係にとどまらず、職場全体の士気の低下につながっていく危険もあります。
努力と報酬のバランスが悪いとストレスになる
このような働かない先輩社員の例のように、職場でのフォローが嫌になる典型的なパターンには次の2つの特徴があります。 ①「報酬」というエネルギーチャージがない ②「怒り」の感情で消耗している 「なんで私ばっかり!?」と自分だけ損している気持ちになるときというのは、努力と報酬のバランスが悪いといえるわけです。あたりまえのことですが、自分が差し出しているものよりも、もらえるものが少なければストレスを感じるのです。これを心理学用語で「努力―報酬不均衡モデル」といったりします。
さまざまなかたちで報酬を受けとれると疲弊しにくい
報酬には、金銭的なものだけでなく、「自分のやったことには価値があるという実感」や「自分がなにかに影響を与えているという実感」といった心理的な報酬もふくまれることがポイントです。 しかし、報酬を限定的にしかとらえられない人もいます。そうなると、報酬の量が自然と少なくなって、疲弊してしまうことが増えます。 たとえば、「自分にとっての報酬とは給料やボーナス、昇進だけだ」と考えてしまうと、どんなに相手から感謝されたり、ためになる経験をしたりしても、給料や昇進が思い通りにいかないと「こんなにやっているのに」と考えてしまうでしょう。 逆に、報酬をさまざまなかたちで受けとれると、たとえ自分が差し出す努力が大きくてもバランスをとりやすくなって疲弊しにくいのです。「自分のやったことには価値があるという実感」や「自分がなにかに影響を与えているという実感」をわかりやすくいうと、自分で自分を「認める」「ほめる」「ねぎらう」といったことになります。