企業・団体献金「廃止」を拒む組織内議員の実態…前回参院選直前には労組関連から5.3億円
「企業・団体献金」の廃止に向け、野党間の足並みが揃わない。要因は、連合傘下の産業別労働組合が擁立・支援する「組織内議員」の存在だ。 自民落選前議員ら執行部に恨み節 裏金非公認「2000万円振り込みなければ…」グチるトンチンカン 連合傘下の労組は、主に官公庁や旧国営企業系が立憲民主党を、民間企業系は国民民主党をそれぞれ支援。毎日新聞が参院比例代表で当選した組織内候補(立憲10人、国民民主6人)の政治資金収支報告書を調べると、2023年には支援労組やその関連政治団体から計約2億4000万円を受け取っていたという。 選挙本番を迎えると、さらに増える。日刊ゲンダイは前回参院選で産別労組が比例代表に擁立、当選した組織内議員8人の収支報告書を調査。本番の22年と前年の21年分は、支援労組や関連政治団体からの献金額は総額約5億3009万円に達していた(別表)。
立憲も国民民主も「抜け穴」の恩恵享受
とりわけ、国民民主の浜口誠政調会長の献金額は突出。トヨタ自動車系労組の2つの政治団体が、浜口氏の関連政治団体4つに分散する形で、計約2億4853万円も寄付していた。また、各労組は政治資金パーティーの対価を支払って組織内議員を支援。22年に自治労と傘下の地方組織は計690万円分を、日教組は55万円分のパー券を購入し、選挙資金を捻出した。 なるほど、来夏に参院選を控え、国民民主が企業・団体献金の廃止に慎重姿勢なのも納得だ。数千万円に上る巨額献金は、労組系の政治団体を通じたケースが目立つ。 献金禁止の対象から政治団体を除外した立憲の法案について玉木代表が「抜け穴がある」としきりに牽制するのは、この点を意識したものだろう。 立憲の野田代表は「個人の意思でつくった政治団体が自発的に寄付する場合を除かざるを得ない」と歯切れが悪く、国民民主も「抜け穴」の恩恵を享受している立場は立憲と変わらない。 「国民民主は、企業・団体献金の温存を望む自民党に同調した方が政治的に得策だと考え、立憲もどうせ与野党合意には至らないとハナから諦め、コブシを振り上げているだけのようにも見える」(政界関係者)との声が聞こえる。 かくして「30年来の宿題」は解決できず、再び年を越してしまうのか。 ◇ ◇ ◇ 立憲民主党、維新、れいわ新選組、共産党、社民党は、「企業・団体献金の禁止」を衆院選の公約に掲げていた。ところが、国民の玉木代表は玉虫色。「全党一致であれば反対する理由はない」と、禁止に賛成してもいいかのようなそぶりだが……。●関連記事【もっと読む】『政治資金規正法「再改正」は企業・団体献金禁止が肝なのに…“ゆ党”国民民主が玉虫色で自民アシスト』で詳報している。