離任の記者会見で頭を下げる京都府警の白井本部長（11日午後、京都市上京区で）

　部下に「殺すぞ」と発言し、警察庁長官訓戒処分を受けて同庁へ異動する京都府警の白井利明本部長（56）が11日、府警本部で離任の記者会見を開いた。冒頭、「府民のみなさま、職員のみなさまに大変なご迷惑をおかけした。率先して良好な勤務環境を創出する立場にありながら、私の言動で職員への士気を低下させ、組織への信頼を毀損した」などと述べ、数秒間頭を下げて謝罪した。 【画像】京都府警本部 　警察庁などによると、白井氏は8月、部下から施策の進捗状況について説明を受けた際、内容に不満を示して「殺すぞ」と発言したほか、別の部署の職員3人に対しても「殺すぞ」という言葉を使ったとされる。理由について「施策の実施までのスケジュールが長いと感じ、イラっとした」などと釈明したという。

　警察庁は白井氏の言動がパワーハラスメントに当たると認定し、今月3日、14日付で長官官房付とする人事を公表した。事実上の更迭とみられる。

実績評価の意見も

　府警内では、白井本部長の実績を評価する意見がある一方、高圧的な言動も目立っていたとの証言もある。 　白井本部長は昨年3月の着任以降、サイバー犯罪の捜査を強化するために「サイバー対策本部」を発足させるなど組織改編を実施した。ある幹部は「優秀な人で、複数の部下を連れて食事に行くなど気さくな一面もあった」と印象を語る。 　その反面、「自分にも他人にも厳しく、率直な物言いをする人」と評する人もいる。「殺すぞ」の発言以外に、複数の幹部らが「ばかやろう」とどなられたり、書類を投げられたりしたという。「本部長室の外までどなり声が聞こえてくることがあった」との証言もあり、問題発覚後は、府警の採用活動への影響を心配する声も上がった。 　元警察庁キャリアで、福岡県警本部長などを務めた京都産業大学の田村正博教授（警察行政法）は「本部長は組織のトップとして時に厳しい指導が必要だが、今回の発言は行き過ぎだ。警察も時代に沿った組織運営のあり方を考える必要がある」と指摘している。