【持続可能性に揺れる日本の農業】私たちの食生活を支える農業が抱えている理想と現実:おすすめ記事5選
2:「安全安心で高品質」日本の農産物が海外で評価されている一方で心もとない国内の農業事情(2023年3月24日)
「日本のお米が美味しいのはみんな知っています」とシンガポールの日系スーパーで現地スタッフから声をかけられた。2023年の年明け早々、3年ぶりに、シンガポールを訪問し、日本企業の飲食店が活況を呈し、日本産農産物などがシンガポール消費者に人気であるのを目の当たりにした。農林水産物・食品の輸出額が22年は過去最高を記録し、25年に2兆円、30年に5兆円を掲げる日本にとって重要な課題が見て取れた。 シンガポールは、丁度東京都23区の山手線の内側の地域に似ていると言われる。広さは23区内面積に近いが、人口は550万人ほどで1人当たりの所得は日本人とほぼ変わらないものの、高所得層が多く、1人当たりの国内総生産(GDP)は2倍近いと言われている。 街の象徴とも言えるオーチャード通りは銀座や青山などのようだし、マーライオン公園は、東京のお台場や豊洲などを連想させる。オーチャード通りから少し離れ、日系スーパーマーケットがある「グレートワールド」はアークヒルズを思わせる――。 シンガポールで人気!日本の農産物が海外で勝つ秘訣
3:<北海道にいながら沖縄の農作物を栽培>テクノロジーによるスマート農業で「ゲームチェンジ」を起こす(2023年1月25日)
「農業はもっとクリエーティブなものになる」。無人農業ロボット研究の第一人者で『下町ロケット ヤタガラス』(池井戸潤、小学館)の登場人物のモデルになった野口伸教授はこう語る。野口教授が描く農業の未来とは─―。 日本では農業従事者のさらなる減少や高齢化によって、1人当たりの農作業量が増える。省力化・省人化は急務だ。また、農業技術をいかに次世代の担い手に継承していくかも課題である。 スマート農業は、日本の農業が抱える複雑な課題の解決策の一つとなる。これまで民間企業が培ってきたロボット、AI、センサーなどの周辺技術は、すでにさまざまな産業に応用されている。一見、農業に関係がないように思える技術でも、農業技術と組み合わせてシナジー効果が生まれれば、農業に「ゲームチェンジ」を起こすことができるはずだ。 スマート農業は、生産から収穫までの情報化を進め、生産性向上を目指す部分に注目が集まる。だが、その本質はデータの利活用にある。農業のデータをフードチェーン(農産物の生産から消費までの流れ)の上流から下流まで一貫して活用できれば、消費者のニーズを踏まえた効率的な生産・出荷体系が構築できるようになる。これは農産物に消費者のニーズを加味することになるので付加価値の向上にも寄与するだろう――。 スマート農業で「ゲームチェンジ」を起こす