指名漏れの瞬間は「もう…忘れられなくて」ドラフト“史上最多”6人指名の富士大「唯一の指名漏れ」選手が明かした胸中…心に期する2年後の下剋上
野球を辞めるつもりの佐々木に「プロを目指せ」
2021年2月。「高校で野球を辞めるつもりだった」選手が、練習などへの取り組みが熱心だと知った安田は、すぐに佐々木を呼び「プロを目指せ」と告げた。そして同時に、「最初の1年間はゴロの捕球に慣れるためにファーストを守らせる。そして、2年生になったらサードを経験させ、3年からショートとして一本立ちさせる」と、目標を達成するためのプランも示してみせた。 バッティングに関しては、高校でも中軸を打っていたように長打力があり、なにより体幹が強く、鋭い回旋運動によって豪快なスイングを体現できると評価していただけに、守備さえ向上すれば十分にプロを狙えると、安田には手応えがあったのである。 監督から“英才教育”を受けた佐々木が頭角を現したのは、大学3年生となった昨年だ。 春の北東北リーグで首位打者とホームラン王を獲得し、ショートでベストナインにも選出。本人もここから「目標がプロに固まった」と言う。 「3年の春に結果を出せて自信になりましたし、そこからもっと練習とか私生活への取り組みも変えようと思うようになりました」 なかでも佐々木が注力したのが食生活だった。食べる量はもちろんのこと、たんぱく質などそのときに足りない栄養素を考慮しながら自炊し、管理していったという。身長175センチに対し、体重は入学時より10キロ以上もアップする90キロと、成果は目に見えて表れた。パフォーマンス面でも、3年秋に打点王、ドラフト前最後のアピールとなる4年秋にもベストナインと結果を出した。 そうして迎えた、野球人生の分岐点。 ドラフトの前夜こそ思ったより眠れたというが、当日の10月24日に午前中の練習を終え、午後に会見場に足を踏み入れたときから胸の鼓動が急激に高まっていった。緊張と不安。「五分五分」の感情を抱えた佐々木は、それらを落ち着かせるために必要以上にペットボトルの水に手を伸ばしていた。 1位で麦谷の名が呼ばれ、2位に佐藤、3位に安徳と、プロ志望届を出した7人中3人が上位指名と富士大のドラフトは幸先がよかった。会場が沸いている最中においても佐々木に光明はなく、「なんとか、指名されてほしい」と祈るばかりだった。
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