【世界とずれまくる日本の物流】荷物を載せるパレットの標準化図るも国内だけの狭き視点、アジア標準ともほど遠い
コンテナへの積載で拡がる欧米のパレット市場の標準化
パレットの標準化のグローバルな拡がりを理解するに当たって重要なのは、輸出入コンテナ貨物へのパレット利用がどの程度進んでいるかを把握することである。 下図は、米国内輸送および米国発着国際輸送について、米国標準パレットがどのくらい使用されているかを示している。もっぱら国内輸送に利用している事業者の割合と国内輸送と国際輸送の両方に利用している事業者の割合が、拮抗していることが読み取れる。 先に、米国の小売事業者が、一般的にベンダーに対して貨物を米国のGMAパレットに搭載して納入することを義務付けていると申し上げたが、この義務付けは海外のベンダーに対しても、多くの場合同様に適応されている。これが48インチ×40インチ(1219mm×1016mm)型のGMAパレットとほぼ同サイズの1200mm×1000mm型の欧米以外の国や地域への拡がりと標準化に影響を与えていると考えられる。
中国のパレット市場にも影響を及ぼす欧米のパレット標準化
そこで筆者が注目すべきと考えているのが、下表に示した近年のアジア最大のコンテナ市場である中国の動向である。 中国では、2000年代初めに11型パレットを、標準パレットとして受け入れたが、トラックの荷台スペースを1200mm×800mm型パレットに合わせたことにより、11型パレットとの整合性に問題が発生。その後1200mm×1000mm型パレットに合わせて輸送容器、荷役機器、保管ラック、コンテナ、輸送車両の標準化が図られた。その結果、22年に11型パレットが標準パレットから除外されることになった。 その背景には、上図が示す通り、中国国内においても、1200mm×1000mm型を中心とする欧米サイズのパレットのシェアが、日本型の11型をはるかに凌駕しているという事情があると考えるべきであろう。 また、中国では、パレットの標準化が輸送容器、荷役機器、保管ラック、コンテナ、輸送車両の標準化の一環として推進されていることに注目する必要があるであろう。