厚底+デカ底で、後半のバテを抑えるハイキングシューズ「ホカ/アナカパ 2 ミッド GTX」|これからの山道具図鑑Vol.3
厚底+デカ底で、後半のバテを抑えるハイキングシューズ「ホカ/アナカパ 2 ミッド GTX」|これからの山道具図鑑Vol.3
ロード、トレイル、そしてハイキング、ウォーキング、リカバリー等、さまざまなシューズを手掛けているシューズブランドの「HOKA」(以下、ホカ)。2009年にフランスで誕生し、現在はアメリカを拠点に展開している。トレイルでの下りを快適に走り抜けるために開発された高い衝撃吸収性を装備した厚底ソールを世界で初めて採用。以来、フツーとは異なるソール形状、機能を纏ったシューズを開発している。その熟成を感じさせるのが、今回取り上げるアナカパ2ミッドGTXだ。 このシューズは、リサイクル素材やサトウキビ由来のミッドソール、PFCフリーの撥水加工等、環境配慮製品でもあり、斬新な機能と合わせて、これからの山道具として紹介するのに、ぴったりだろう。 編集◉PEAKS編集部 文◉ポンチョ 写真◉長谷川拓司。
ホカ厚底が日本上陸したときのこと
ホカが日本で話題になったのは、2010年の日本山岳耐久レース、通称ハセツネCUPで、そのシューズを履いた契約ランナーが優勝したことだった。筆者はトレランも好きで、奥多摩全山、距離71。5キロを制限時間24時間で踏破するハセツネを、過去に7回完走している。その年は雑誌の取材でゴール地点にいて、厚底シューズを掲げてゴールしたフランス人ランナーの姿を目撃した。 分厚いソールを装備した「ホカ オネオネ(当時はそう呼んでいた)」は、驚きとともに、「あの厚さは問題ないのか? 」「あれで走れるのか? 」「いったいどんな履き心地なんだ? 」と、懐疑と興味も入り交じった感想が多く囁かれたのを記憶している。
斬新、固定観念の払拭、それがホカのおもしろさ
そのハセツネ以来、厚底シューズといえばホカだった。しかし、保守的な日本の山文化に対して柔軟だと思っていたトレイルランニングシーンでも、厚底はあまり浸透しなかった。またロードランニングでも、相変わらず「足裏感覚」を重視した薄底シューズが一般的だった。 流れが変わったのは2017~2018年のマラソンシーズン。ナイキが手掛けた厚底が、ロードランニングシーンで一世を風靡した。ナイキの厚底は、ミッドソールの厚さだけでなく内蔵されたカーボンプレートによる反発力の高さを装備。ホカのアイデアを進化させて、スピードを提供するシューズになっていた。 キワモノ扱いだった厚底シューズは、一気に市民権を得て、トレイルランニングでも愛用者が増えた。そして厚底経験者が増えてきた2020年、ホカは2010年の日本上陸時と同じくらいの衝撃を私たちに与えた。 ホーバークラフトにヒントを得たという、あり得ないほどにヒール部分が延長されたアウトソールを装備したトレランシューズ「テンナイン」とハイキングシューズ「テンナイン ハイクGTX」の発売だ。 しかし、そのカタチから想像できる通り、上り階段等はカカト着地となり、いつもよりも早い着地でヒールが引っ掛かるため、苦手。反面、緩やかな斜面やフラットなトレイルではヒールから押し出されるような推進力を感じられるシューズだった。