「収入証紙」を廃止する動きが加速、オンライン決済の波は「収入印紙」へも?
国に支払う納税の証し
使用されるのは、主に3つである。まず「契約書に貼る」。企業同士の契約、不動産の売買契約、工事の請負契約、預貯金の証書などが該当する。次に「領収書に貼る」。記載された金額が5万円以上の場合は「収入印紙」が必要になる。そして「国への手数料」。司法試験や公認会計士など国家試験の受験手数料にも利用される。パスポートのように「収入証紙」と"共存"する、珍しいケースもある。
額面10万円まである!
「収入印紙」の額面は1円から10万円まで、合わせて31種類発行されている。役所や法務局の他、身近なところでは、コンビニエンスストアや郵便局でも販売されている。最も利用されるのは200円で、1円はほとんど使われていない。ただ、1円は"最少の貨幣単位"であるため、何かの場合に備えて、発行されているとのこと。逆に最大の10万円という「収入印紙」が必要な場合は、受け取り額が「3億円超え5億円以下」という契約の場合となる。図柄は全種類ともにサクラの花であり、額面によって色分けされている。
時代の波と「収入証紙」
話を「収入証紙」に戻すと、今回の岐阜県での廃止は、全国で11都府県目となる。印刷代や証紙の販売を委託する金融機関への手数料など、廃止によって年間8,200万円の経費削減が見込まれている。コストカットのメリットは大きい。オンラインなどの電子決済が増えて、現金などを使わないキャッシュレス時代は加速している。
電子契約の「収入印紙」は不要
その波は、もう一方の「収入印紙」にも押し寄せる。印紙税法には「文書の作成者は印紙税を納める必要がある」と規定されているが、これは"紙"の文書が対象となっている。オンラインでの電子データは"紙ではない"。電子契約を締結することは「電子データを送信すること」であり、課税文書の作成には当たらない。このため、印紙税は必要なく、「収入印紙」も必要なくなるのだ。ますます出番は少なくなりそうだ。 キャッシュレス時代が進む中、ほとんど使われない1円分まで印刷されている「収入印紙」。日本に誕生して150年以上になるが、岐阜県はじめ廃止の動きが加速している「収入証紙」と共に、大きな曲がり角を迎えようとしているようだ。 【東西南北論説風(547) by CBCマガジン専属ライター・北辻利寿】
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