世界の名建築を訪ねて。「2022 FIFAワールドカップ」のメイン舞台、金色の「ルサイル・スタジアム」/カタール・ルサイル市
試合への一体感が得られるデザイン
建物はプレイヤーや観覧者の双方にとって実体感がある雰囲気を創造するという基本的な目的があるため、ピッチと観覧席の関係がスタジアム・デザインのスターティング・ポイントであった。広いポディウム(入口前の通路)を通り、スタジアムにアクセスするデザインは、ゲートに近づく来館者たちに大きな歓迎の意を伝える。スタジアム・ボウルは試合やイベントになると、生き返ったように観覧者の器になる。当地最大のスタジアムとしてインターナショナルなイベントにも対応できるキャパシティを保持している。 客席のシートには薄い砂色が用いられ、それによりチーム・カラーを纏ったサポーターたちの興奮とエネルギーの背景となっている。建物のスケールにおいて遊び心があり、幾何学的にエレガントな構造を有する「ルサイル・スタジアム」は、「FIFAワールドカップ・カタール2022」のレガシーのシンボルとして、永続的な存在となっている。純粋かつ簡潔なスタジアムの形態は、同市のスカイラインにアイコニックな姿で屹立(きつりつ)している。 ●紹介作品 ルサイル・スタジアム(Lusail Stadium)
淵上正幸
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