高校時代から意識した大衆性、かつ深化もさせたい――Mrs. GREEN APPLEが向かう「ふたつの軸の理想像」 #なぜ話題
昨今では、いわゆる「バズる」ということがヒットのひとつの条件になっている。曲に合わせて踊ったダンスがブームになるなど、動画サイトから話題が広まっていくことも少なくない。しかし彼らは、あくまでリスナー一人ひとりの胸のうちに寄り添うことに重きを置いて活動を続けてきた。その積み重ねを経て人気を広げてきたのである。 「『バズる』という言い方は、ミセスのチームではあまり使わないかもしれないです。大衆という生き物なんて、別にいないので。そこじゃなくて、その人の人生の1ページになれたらいいなということを思っている。自分だったら救われる、自分だったら頑張れるかもしれない、気を紛らわせるかもしれない音楽を、地に足を着けて作れたらいいなと思っているんです。それが一人ひとりに刺さっているのだとしたらうれしいです」(大森)
突発性難聴に「ですよね、みたいな感じ」
2024年に入ってもツアーや新曲のリリースなど多忙な日々は続いたが、バンドは決して順風満帆とは言えない状況にあった。1月19日、大森の左耳が突然聞こえづらくなった。翌日に医師の診察を受け、突発性難聴と診断された。 「ですよね、みたいな感じでした」と大森は当時を振り返る。突発性難聴の原因はいまだ解明されていないが、ストレスや過労があると起こりやすいと言われている。ミュージシャンや芸能人にも突発性難聴を発症する人は少なくない。 「去年の走り方を見てたら妥当かなっていうのがまず最初に思ったことでした。驚きとかショックはあんまりなくて、どっかにガタがきたかくらいな感じです」(大森) しかし、活動を止めようとは思わなかった。医師による治療を受け、症状と向き合いながら、決まっていたライブツアーも楽曲のリリースも予定通り行うというのが大森の強い意思だった。 「休みましょう、入院してくださいって最初は言われたんです。ストレスを減らすために休養が必要だという判断だった。ただ、僕にとっては休むほうがストレスなので。何かの表現をすることが僕にとってはリフレッシュになる。表裏一体で、隣り合わせにあるものなので。今も治ってないんですけど慣れちゃいました。もちろん通院して治療を進めながらなんですけれど。正直なことを言うと、全然強がりじゃなく、チームの水準を底上げするための理由に使ってもらってもかまわないくらいに思ってました」(大森)