“過去最多”の倒産数…肉の価格上昇に立ち向かう、焼き肉店の経営努力とは?
状況を探るべく向かったのは、韓国・ソウル。焼き肉店で使われている牛肉を見てみると、100%アメリカ産となっていた。
焼き肉店の店長曰く、「アメリカ産牛肉の消費量は増えてる」という韓国の焼き肉事情。店長によると、客は値段の高い韓国産の牛肉よりも、安いアメリカ産の牛肉を好んで食べているという。
韓国でも、国産よりも比較的安い値段で手に入るアメリカ産牛肉。大量に仕入れられることから韓国でも重宝されていた。
米国食肉輸出連合会統計資料によると、今年1月から4月にかけて、アメリカ産牛肉の輸出先の割合は、日本は20%、韓国は19%、メキシコは18%、香港・中国は16%。人口が日本の半分以下の韓国も、日本とほぼ変わらない割合で仕入れていた。 韓国政府はアメリカ産牛肉を巡る競争が、価格上昇の要因になっているのでは指摘している。
点火のタイミングを工夫してコスト削減
アメリカ産牛肉の値上がり。日本の焼き肉店では、さまざまな経営努力が行われている。 『肉のよいち』は、仕入れのタイミングを工夫。『肉のよいち』の柳瀬社長は、「年間で仕入れしてるんですよ。例えば、カルビですと、夏のバーベキューシーズンは高騰して、冬は安い。ロースは逆に冬が高くなる。すき焼きとかしゃぶしゃぶシーズンで。(ロースは)夏が安い」と、各部位の“安い時期”を明かした。
冷凍保存ができる肉。部位ごとに、最も安く仕入れられるよう時期を調整することで、仕入れの価格を抑えていた。他にも、集客を狙って、写真映えするメニューの開発もしているという。
また『煙力』では、“点火のタイミング”を遅らせることで、コスト削減を図っていた。 「もともとオーダーを取った後に火をつけていたが、光熱費が今すごく上がっているので。ドリンクを提供した時に、火をつけるという工夫に変えた」と話す、『煙力』運営会社の山北さん。 以前は、注文を受けた時点でロースターに火をつけていたが、1年前から、最初の飲み物を運んだ時に火をつけるよう、点火のタイミングを数分遅らせることにしたのだ。