全編iPhoneで撮影されたApple制作のムービーに主演。賀来賢人が“画期的”だと思ったのは?
── 結末が先鋭的だったことなどから、当初、単行本には最終回が収録されなかったという経緯もあるようですね。これまでアニメ化も実写化もされず、隠れた名作と言われるゆえんはそのあたりにもありそうです。 賀来 でもこの前、妻と話してたら、「え、『ミッドナイト』、私知ってるよ。もぐりのタクシーの話でしょ?」とさらっと言われて、めっちゃ知ってるやん!(笑) と思いました。 ── (笑)。マンガ原作のキャラクターはこれまでも多く演じられていますが、今回の役にはどのように取り組まれたのでしょう。 賀来 ミッドナイトは全身緑のコスチュームを着た見かけからして、今まで演じたどの役よりもキャラクター感が強い人物で。とてもカッコいい衣装を用意していただいたのですが、「まずこれを着こなせるのか!?」というところから始まりました。 人物自体もミステリアスだし、見た目のインパクトが強いからこそ、強いキャラとは思わずに、なるべく地に足ついた表現方法で、あくまでひとりの男性として演じました。 実際演じながらも、「このビジュアルがどう見えてるんだろう?」というのは頭の片隅で気になってはいたんです。でも撮り終えて繋いだものを見たら、まだ粗い映像にも関わらず、すでに『Midnight』という世界観が成立していたんです。それは美術や街並み、空気感というものを、三池監督を始めみなさんがうまく創り出しているからかなと思いました。
ジェットコースターに乗っているような感覚でドヤ顔で操縦しています
── 三池監督とは初めてのお仕事だったそうですね。 賀来 僕は三池監督の『クローズZERO』をとてもワクワクしながら見てた世代ですし、周りの俳優仲間からも、「三池さんの組は、俳優をのせてくれてすごく楽しい」と聞いていたので、いつかは出たいとずっと思っていました。 今回はショートムービーで、たっぷり時間があったわけではないのですが、限られた環境のなかでも細やかな気遣いをしてくださり、現場の空気も役者のことも、常に全部を見ている方だなと感じました。 演出も非常に的確で、知りたいことを短い言葉で伝えてくれる。三池さんがちょっと言った言葉が僕はすごく腑に落ちて、勝手に「フィーリングがあった!」と思っていて。だから、もうちょっと長くやりたかったですね。