全編iPhoneで撮影されたApple制作のムービーに主演。賀来賢人が“画期的”だと思ったのは?
もっと効率よく作るためにはどうすればいいかを考えている最中
── 賀来さんは今年で35歳。演技のキャリアは20年になりますが、多くの経験を積んでこられた中で、表現者としての現在地をご自分ではどう感じていますか? 賀来 今、すごく楽しいですね。自分の意見が言えるようになってきたし、体もまだまだパワフルに動くので、今が一番自信を持って仕事ができる時期。チャレンジしどきなのかなと思います。 ── Netfiixで配信中の『忍びの家 House of Ninjas』では原案・主役・共同エグゼクティブプロデューサーも務めていますが、やりたいことがより明確になってきているのでしょうか。 賀来 はい、そうですね。『忍びの家~』もそうですが、ゼロから自分で作品を作るということをこの前、新たに経験して、以前は「できない」と思っていたけれど、「あ、できるじゃん」というのが、もうわかったので、それは今後も続けていきたいし、もっと効率よく作るためにはどうすればいいかを考えている最中です。 ── 俳優としてチャレンジしたいことは? 賀来 やっぱりワクワクするものをやりたいです。役者って、求めていただける限りはいつまでもできる仕事ですが、年齢を重ねるにつれて、味が出てくる一方、体力面でのパフォーマンスはどうしても落ちてくると思うんです。 そう考えた時に、1年に1、2本の作品に取り組めるとして、本当に元気でパフォーマンスが保てる何十年以内にできる作品数を数えてみたら、実はもう限られていて。 となると、その大事な1年や2年の間に、自分が何をするかというチョイスを本当に慎重にやらないといけない。今までやってきたことをなぞるよりも、ちゃんとワクワクしたり、これまでやったことがなくて自分が「できないかも」と思うようなことに挑戦していきたいという思いはあります。
── 2020年には、16年間所属した大手事務所から独立。その後も精力的に活動されていますが、賀来さんが感じる俳優業の醍醐味とはなんですか? 賀来 僕は作品を通じて人を喜ばせたり、感動してもらったりすることがすごく好きで。たとえ自分が「うまくいかなかったな~」と思う作品でも、見てもらって好きになってくれたり、お客さんが「あれ、面白かった!」と言ってくれたらもう十分なんです。 役者はみなさんそうだと思いますけど、お客さんがいなければ、きっと僕はやりがいの多くを失ってしまうだろうし、正直、自分のためだけには喜んでできないだろうと思います。 ── 独立を経て新たに気づいたことはありますか? 賀来 独立して痛感しているのは、仕事というのは結局“人と人”なんだな、ということです。大きな事務所にいた頃は、自分の価値みたいなものがすごく見えにくかったんです。というのは、ひとつの仕事が始まる時も、僕がその役を任される過程で、どこまで会社が動き、どういうオファーのされ方や交渉の場があったのかを僕は知りもしなかったし、知ろうともしなかったからで。 でも今はそれが全部わかるし、「君がいいから、君と仕事がしたいんだ」というふうに信頼を置いて声をかけていただけることが本当にうれしいです。まさに今も、作品との出会いと、そこに関わる人たちとの出会いがとても面白く進んでいるところで。これからもひとつひとつの縁を大切にしながらやっていきたいなと思っています。