はやぶさ2最後のミッション JAXA会見(全文4完)きちんとミッション完了
ターゲットマーカーは多めに積んでいたのか
大塚:実際に「はやぶさ2」チーム側で、じゃあその助言をいただいて協力したのは、じゃあ吉川健人先生のほうでということですか。 吉川健人:はい。私だけではないんですけど、「はやぶさ2」の軌道推定チームとか、アストロダイナミクスの専門家もいますので、そのチームで検討をして、最終的にこの条件にしようというのを決めています。もちろん川口先生とかシアーズさんのご助言もいただきながら、これは決めております。 大塚:それと、このコメントの中にもあったんですが、ターゲットマーカーを周回させるっていうのは、開発時から想定はしていて、それもあってターゲットマーカーちょっと多めに積んでいたということなんですか。 久保田:ターゲットマーカーを使うっていうことまではまだ想定していなくて、なんらかのものを分離して周回させると重力分布が分かるっていうのは分かっていたので、それをどうしようかというのは考えていたんですけども、ターゲットマーカーを5個にした理由は、ピンポイントタッチダウンをするために用意していたもので、今回運良くターゲットマーカーは少ない数でできて残っていたということが大きかったというふうに思っています。 ちなみに「はやぶさ」初号機のときには、これもやはり周回したいというのはあったんですけれども、残念ながら8分の1周期の周回だけにとどまって、なんとかもっと周回させると重力分布が分かるということで、いろいろ当初、2012年ごろには考えてはいたんですけれども、そのときにはまだターゲットマーカーというより別のものを何か降ろせないかなというふうには検討していた次第です。 大塚:ありがとうございます。 司会:そろそろお時間です。最後の1つ、じゃあ3番目の方。
最後の大仕事は成功したのか
読売新聞:すいません、読売新聞の【マツダ 00:59:50】といいます。お願いします。吉川先生か吉田先生どちらかかなと思うんですけれども、ローバーについて、当初8周ぐらいする予定になっていたんでしたっけね。これが1周、今日で落ちたということだと思うんですけど、それによって取得するデータの量とか精度に何か差があるもんなのかっていうのが1点と、そこら辺を含めた上で、この「はやぶさ2」のリュウグウでの最後の大仕事っていうのは成功したと言っていいものかどうなのかというのが2点目。この2つをお願いします。 吉川健人:軌道推定の観点から、ちょっと私からコメントさせていただきます。ご回答させていただきますと、この周回数で観測量が当初よりも減ってしまったというのは確かに事実なんですけれども、これはこれで、より重力の推定、よりぎりぎりのところを飛んでいくような軌道に入っているようなことも考えられるので、そういう意味では、これは解析をしてみないと今は分からないと思っています。逆にこういう際際を飛んだ軌道でより重力の影響を受けているようなデータが取れているかもしれないですし、ちょっとこれはやってみないと分からないというところが正直な回答になります。 吉田:私のほうから補足させていただきますと、前回のご説明のとき、実施前のご説明では8周ぐらいが目標であるということをご説明しておりましたが、それより少なくなってしまったことに関しましては、もうちょっと回ってほしかったなという気持ちは正直あります。が、少なくとも1周以上回って着地をしたということで、周回は達成したということ、それから今、吉川さんから補足ありましたけども、結果的にその際際の興味深い軌道を飛んだということもこの先言えるかもしれませんし、私どもとしては、ローバー開発チーム全体としまして、大学コンソーシアム全体として、とにかく着地させることが1つ、大きな目標であるということもございましたので、それも達成できたということで、ちょっと自分からは言いにくいんですけれども、及第点であるというふうには考えているところであります。