世界初の民間月面探査へ ispaceが進捗説明会(全文1)2021年に月面着陸へ
約半年の試行錯誤ののちに適切な設計にたどり着く
また、われわれ内部の要因としましても開発上のチャレンジがありまして、スケジュールの変更も必要になってきています。これはチャレンジの1つの例ですけども、われわれのランダーのボディーの設計検証を進めています。そのために試験機モデルを製造しているんですが、設計時に想定した強度が出ないということが途中で分かってきました。その後、何度か設計をやり直して、また、ボディーを製造してくれているサプライヤーとも協議を行い検証作業を、繰り返しを行ってきました。半年ほどの試行錯誤ののちにようやく適切な設計にたどり着き、再度、試験機の製造を着手しております。製造完了後には振動試験などの試験を行っていく予定になっております。 もう1つご紹介しますと、推進系でも試行錯誤に時間が掛かっております。重要な部品であるタンクですとかスラスタ、バルブなどは大手のサプライヤーから、十分な実績があり信頼できるものを調達をしています。しかしながら、それをつなぐ配管に関しては宇宙機に合わせた配管設計が必要になってきます。そのため、われわれは「HAKUTO-R」では小型軽量のランダーの設計を目指しておりますので、構造を一体型にするということで、配管の最適な設計、レイアウトにたどり着くまで試行錯誤に時間を要する結果になっております。 宇宙機は開発するのにリサーチ・アンド・ディベロップメント、R&Dと呼ばれますけども、まさにその名のとおり、仮説と検証を繰り返しながら技術開発をし、1つ1つ課題を解決をしてきています。今後はさらに着陸に必要な機能の開発を進めていくことになります。着陸脚については構造エンジニアが今、設計検証を進めています。年内には試験機用の着陸脚を製造いたしまして、ボディーの試験と併せて各種試験を行っていきます。 さらにランダー、ローバーを地上から管制していく地上局、アンテナの契約を進めていたり、ミッション・コントロール・センターなどの検討も進めております。地上局については欧州宇宙運用センターという、ESA、ヨーロッパ宇宙機関の持っている施設とすでに契約を結びました。その契約の下、世界中にあるESAのアンテナネットワークを活用し、運用準備を進めております。