世界初の民間月面探査へ ispaceが進捗説明会(全文1)2021年に月面着陸へ
優位に立つため、早期の月面到着を
昨年11月にこのCLPSに参加できる事業者の選定がありました。そしてispaceもアメリカの研究機関であるチャールズ・スターク・ドレイパー研究所がリードするチームのメンバーとしてこのCLPSのプログラムに参加しています。月面開発会社としてグローバルで競争優位を維持していくために、そしてこのマーケットの成長とそれに伴う事業機会の増加といった変化に迅速に対応していくために、われわれ今後検討していく必要があります。 そしてこのマーケット優位に立つためには、やはり早期の月面への到着、そしてビジネスとして輸送サービスを実証するということが非常に重要です。この2点において、現在われわれが参加するNASAのCLPSというプログラムは非常に重要な位置付けになっています。 このCLPSをはじめとした世界の大きな潮流を捉えて、そして事業化をより確実に進めていくために、われわれ内外でいろいろな検討を進めてきました。その結果、「HAKUTO-R」のミッションの一部の変更をすることにいたしました。 まずミッション1は、2020年の月面周回ミッションの計画から、2021年に月面着陸するミッションに変更いたします。そしてミッション2は2021年、月面着陸、そして月面探査の計画から、2023年の実行に変更いたします。この変更における大きなポイントというのが、ミッション1を月周回ミッションから月面着陸に変更していることです。この変更の背景には、先ほどのCLPSの対応があります。NASAの求める早期の月面着陸を実現していくために、われわれ月周回ミッションを取りやめまして、ミッション1から月面着陸をするということにしております。 ただ、このNASAのCLPSに対応するには、NASAのルールに従う必要があります。例えばランダーの最終製造をアメリカ企業が行うですとか、ランダーの部品の50%超をアメリカ国内で調達するなどのルールがあります。そういったルールに従うために、これまで計画してきた部品調達や組み立て試験などの計画をわれわれは一部変更する必要が出てきています。 われわれはスタートアップという限られたリソースの中で2つの宇宙機を別々に同時並行に開発するということは非常にリスクが高いというふうに判断をしています。そして、より大きな機械を提供できる、月面着陸できるランダーの開発にフォーカスをしようと、そして月面着陸を初回から目指そうという決定をいたしております。