天の川銀河で「ダイソン球」の候補を7個発見? 違ったとしても興味深い発見
非常に高度な文明が建造すると予想されているものの1つに、恒星から放出される全てのエネルギーを利用するための巨大な構造物「ダイソン球(Dyson sphere)」があります。ダイソン球は赤外線の形で熱を排出するので、遠く離れた地球から完成したダイソン球を観測した場合、赤外線を過剰に多く放出する “恒星” として観測されるでしょう。 今日の宇宙画像 ダイソン球を捜索する「プロジェクト・ヘーパイストス (Project Hephaistos)」は、地球から比較的近い距離にある恒星約500万個を対象にダイソン球の捜索を行いました。その結果、ダイソン球の可能性を否定できない天体が7個見つかりました。もちろん、現段階では単なる自然天体である可能性の方がずっと高く、ダイソン球を実際に見つけた可能性は低いでしょう。しかしそれでも、かなり変わった性質を持つ恒星を発見したことになるため、興味深い発見と言えます。
■高度な文明が作っているかもしれない「ダイソン球」
文明は発達すればするほど必要とするエネルギーが多くなります。地球の文明よりもはるかに高度に発達した文明は、やがて恒星から放出されるエネルギーをフル活用しなければならなくなるでしょう。恒星から放たれるエネルギーを無駄なく受けるには、恒星の大部分を覆うような巨大な構造物を建築する必要があります。このような巨大構造物は、提唱者のフリーマン・ダイソンにちなんで「ダイソン球」と呼ばれています(※)。 ※…ただし、フリーマン・ダイソンが1960年に提唱した概念は、今日でイメージされる球殻構造(sphere)の構造物ではなく、連結されていない小さなパーツが無数に恒星を周回しているようなイメージであることに注意が必要です。オリジナルの論文では「恒星を包む人工生物圏(biosphere)」という表現だったものの、いつからかbiosphereがsphereと勘違いされて生じた誤りです。 では、仮に地球外の高度な文明がダイソン球を構築していたとして、それを地球からの観測で知ることはできるのでしょうか? 例えば、完全にひとつながりの球殻構造や帯状構造のダイソン球は力学的に不安定であるため、ダイソン球には隙間があると予想されます。このため、周囲にダイソン球が構築された恒星は隙間から不規則に光が漏れることで、異常な変光周期を持つ恒星として観測されるかもしれません。そのような恒星は「タビーの星(KIC 8462852)」などいくつか見つかっていますが、砕けた天体の破片によるものであるなど、もっと普通の自然現象として説明できることが分かっています。