世界初の民間月面探査へ ispaceが進捗説明会(全文1)2021年に月面着陸へ
「HAKUTO-R」ミッションの進捗
袴田:それでは「HAKUTO-R」のミッションの進捗についてご説明いたしたいと思います。まずは外部環境の変化からご説明したいと思います。まず宇宙産業全体は成長し続けています。昨年2018年の宇宙産業の市場規模は44兆円、昨年度比で8%の成長をしています。ここ数年、5%以上の成長をしていまして、他の産業と比べても非常に高い伸び率となっており、まさしく成長産業だと言えると思います。 成長の中で一番分かりやすいのは、打ち上げの回数だと思います。2018年には114回の打ち上げがありました。2017年と比べても大きく伸びています。われわれも契約しましたスペースXの打ち上げニュースを最近よく聞くようになりましたが、そういった増加を、打ち上げの増加を象徴していると思います。こうやって宇宙産業全体が加速していることがお分かりいただけると思います。 実はその中でも月面探査の加速が著しくなってきています。今年に入ってからすでに3つの月面着陸のミッションが行われています。1月に中国が月面の裏に到着いたしました。そして4月にはGoogle Lunar XPRIZEで一緒に戦ったイスラエルのNPOの組織が月面着陸を試みています。また、9月にはインドが月面着陸を予定しています。 といっても、宇宙観測の主役はやはりアメリカ、NASAだと思います。アメリカは有人月面着陸プログラムであるアルテミス計画を発表しています。そして、有人着陸を当初の2028年の計画から2024年に早めています。この計画の加速により、グローバルでの月面探査も盛り上がりを大きく見せ加速してきています。 また、有人だけではなくて無人の月面探査ミッションも進んでいます。宇宙というとやはり有人に注目されますが、無人も非常に重要なミッションになっています。無人ミッションは有人ミッションを成功させるためにデータの事前の取得、有人システムの技術検証、そして必要機材を事前に輸送するなど、準備ミッションとして非常に重要な役割を担っています。 NASAは月面輸送業者の育成のために、Commercial Lunar Payload Services、通称CLPSといわれていますが、のプログラムを昨年立ち上げています。今後10年間で約3000億円の予算規模で、民間企業から月面輸送サービスを調達するという計画です。このプログラムでは、NASAは早期の月面着陸に対してprice incentiveを出すなど、早期の着陸に非常に関心を持っています。