日銀・黒田総裁、景気判断「一歩進めた」
日銀は20日、金融政策決定会合で、短期金利はマイナス0.1%、長期金利はゼロ%程度で推移させるという現行の金融政策を維持することを決めた。景気の現状判断については「緩やかな回復基調を続けている」とし、会合後に会見した黒田東彦総裁は「前回判断より一歩進めた」と述べた。
「トランプ相場」は追い風?
世界経済は、いまトランプ次期大統領の誕生を前に「トランプ相場」といわれる米国で株高・ドル高現象が起こっている。会見では今回の景気判断引き上げとの関連性を問う声が相次いだ。 それに対し、黒田総裁は今回の引き上げには3つの背景があると説明。新興国経済の減速感が和らいだこと、海外経済の改善で日本の輸出に持ち直しの動きが出たこと、個人消費の面でも雇用や所得環境が改善されてきたことなどを挙げた。そして、トランプ新政権の政策は「どのようなものになるかはまだこれからのこと。何とも申し上げかねる」とした。 「マイナス金利」導入など日銀にとっても歴史的な一年となった2016年については、年初から新興国経済の減速、6月には「英国のEU離脱」があるなど「世界経済への悲観的な見方が広まった」と振り返った。ただ、そんな中でも世界経済自体は「年の後半にはそういった状態にはなく、実体経済がかなりしっかりしてきたということが分かってきた」との認識を示した。 トランプ相場との関連については「追い風かと言われると向かい風でもないが、前半にあった向かい風がなくなった」と述べ、むしろ今年の前半の状況の厳しさを強調した。