【毎日書評】自分の「思考のクセ」に気づけば、どんな人でも会話上手に変われる
「上手に会話をしたいけれど、口ベタだから」とか、「あがり症なので、会話が苦手」とか、そんなお悩みをお持ちの方も少なくないはず。しかし『会話の達人が大切にしていること』(津田紘彰 著、フォレスト出版)の著者は、「会話が上手になるのに、『口ベタ』や『あがり症』を治す必要はありません」と断言しています。 口ベタのままでも、あがり症のままでも、会話上手になれるというのです。その根底にあるのは、“会話は「相手が主役」”という考え方なのだとか。 人と上手に会話ができ、人から愛され、人が集まってくる人は、「相手が主役」の会話ができている人です。 逆に、どんなに話術に長けていても、そのマインドがなければ、ただの自慢話や苦労話に終始するので、人は次第に離れていってしまいます。 本書を通して、この「相手が主役」というマインドを身につけることにより、「口ベタやあがり症を治さなくたっていい会話をつくることができるのだ。むしろ、話術といった技術ばかりがあってもダメなのだ」と、あなたに実感していただけると思っています。(「はじめに」より) 著者は「コミュニケーション&スピーチアカデミア(CASA)」という、コミュニケーションや会話を学ぶスクールを主宰する人物。もともと会話が上手だったわけではなかったものの、「話し手の心やマインドを尊重すること」こそが会話の極意であることに気づいてから、「相手が主役」という考え方の重要性に行き着いたというのです。 つまり本書は、そうした自身の体験に基づいて書かれたもの。よくあるテクニック本のたぐいではなく、「いつでも誰もが楽に、かつ再現性の高い会話力を手に入れられるように」こだわっているのだそうです。 きょうは第5章「『自信がない』人でも好かれる会話の極意」のなかから、「『くせ』を変えると、会話がみるみる上達する」という項目に注目してみたいと思います。人間には長年の間に身についてしまった考え方や行動の「クセ」があるものですが、思考についても同じことがいえるというのです。