タイヤも「持続可能性」を重視する時代 ピレリ「FSC認証」取得を進める
環境を守るFSC認証取得へ
自動車を構成するさまざまな部品の中でも、タイヤはその製造に必要な成分の配合が最も複雑な部類に入る。 【写真】電動化しても「サソリ」は健在【アバルト500eを写真で見る】 (35枚) 従来、タイヤの持続可能性(サステイナビリティ)については、控えめに言っても疑問視されてきた。天然ゴムのような原材料の調達における環境への影響も考慮しなければならない。 ピレリは、2026年までにタイヤに使用する天然ゴムとレーヨンをすべてFSC(森林管理協議会)認証のものにすると発表した。 近く発売される新型レンジローバー・エレクトリックにはこのタイヤが装着される予定で、JLRは「大規模」に同タイヤを採用する最初のメーカーになると述べている。レーヨンは、木材や天然繊維などの天然資源から作られる。 FSC認証は、産地の森林が生物多様性を守り、その地域に住む人々に利益をもたらすように管理されていることを証明するものである。また、認証を受けた素材がしっかりと分別され、最終製品に至る過程で未認証の素材に汚染されない(混ざらない)ことも保証する。 ピレリがFSC認証の天然ゴムとレーヨンを大規模に使用するのは、JLRの製品ラインナップでは初めてのことかもしれないが、こうした素材自体は新しいものではない。ピレリは2021年に初めてFSC認証の天然ゴムとレーヨンのタイヤを製造した。 また、今年のF1グランプリでも、各タイヤの重量の約15%にFSC認証の天然ゴムを使用した。さらに最近では、ピレリPゼロ・レースRSにも導入され、総重量の23%が認証天然ゴムで構成されている。 タイヤメーカー各社は、製品、特に原材料が環境に与える影響を低減するための取り組みを強化している。 タイヤは、天然ゴム、数種類の合成ブタジエンゴム、カーボンブラック(コールタールなどから作られる充填剤)、シリカ(砂から作られる)、ナイロン、石油、さまざまな繊維コード、硬化剤、樹脂などからできる複雑な化学混合物である。 ミシュランとそのパートナー企業は、石油ではなくバイオエタノールを使って合成ゴムを作るために、バイオベースのブタジエンの製造に取り組んでいる。今年初め、ミシュランは実証プラントで大規模製造に成功したと発表した。 また、環境破壊につながる砂の採掘に代わるものとして、籾殻灰からシリカを製造するメーカーもある。籾殻灰を使用する場合、通常よりもかなり低い温度で処理できる。 リサイクル・ペットボトルはポリエステル繊維の原料となり、石油由来の樹脂はバイオ由来の樹脂に取って代わられる。カーボンブラックは廃タイヤからリサイクルされ、スチールコードはリサイクル・スチールから作られている。 ミシュランは昨年から45%の持続可能素材を使用した公道用タイヤを製造している。コンチネンタルのウルトラコンタクトNXTも昨年発売された主流車種向けのタイヤで、認証素材を最大65%使用している。
ジェシ・クロス(執筆) 林汰久也(翻訳)