【高校野球】履正社が大阪を制し近畿大会へ 下馬評を覆した「大阪桐蔭対策」とは?
辻は5回途中まで2失点と粘りのピッチングを披露。2点差に迫られ、なおもピンチの場面でショートの矢野がリリーフ。代わりばなにタイムリーを浴びて1点差とされるも、その後はしっかり抑えて9回まで投げきり勝利。終わってみれば、大阪桐蔭打線を5安打、3失点。小柄なふたりの野手兼任投手が大阪桐蔭打線を翻弄した。 一方の野手陣も、見事な攻撃を見せた。大阪桐蔭の先発・中野、6回から登板した森に対し、じつに12安打、8得点。とくに際立ったのが、センター中心に低く打ち返した打球で、12本の安打中9本がセンター周辺に飛んだ。試合後、前試合まで4番を打ち、この試合は2番で2安打した井上銀士に話を聞くと、取り組みの一端が明らかになった。 「この1週間、チームのアナライザーが大阪桐蔭のピッチャーの投球映像を編集してくれたものを何回も見ました。甲子園の時の映像も含め、ふたりが抑えているところ、打たれて得点されるシーンを何回も見て、このボールにはこんな感じのバッティング、こういう時はこの攻めをしようと、みんなで話しながらイメージをつくってきました」 イメージトレーニングだけではない。井上が続ける。 「バッティング練習で、マシンのスピードをいつもより少し速くしましたけど、ふたりとも真っすぐが力強いので、高めは押し負ける。だから、真っすぐでも高めは捨てて、ヒザから腰くらいまでの球を狙って、コンパクトに強く振る。あとは、ふたりとも三振をとって勢いに乗ってくるタイプだと思うので、できるだけ三振せずに、食らいついていこうと。追い込まれたら落ちる系のボールで空振りを狙いにくるので、僕のような左打ちの打者は三塁ベンチへ打つくらいの感じでスイングする。このあたりの意識とスイングを、1週間で徹底してきました」 ボールを長く見て、引きつけて打った結果が、センター中心の鋭い打球につながったのだろう。それにしても下馬評を覆しての快勝。あらためてスコアを告げると、井上は満面の笑みを浮かべて言った。 「こんな展開になるとは、まったく思っていなかったです。今日はなんとか3点くらいに抑えて、攻撃はとにかく食らいついて、勝つならロースコアの試合しかないと思っていたんです。それが......」